高度技能外国人にポイント制で労働市場開放
政府は2001年12月13日、グローバル・エコノミーでの競争で重要となる科学、エンジニアリング、金融などの分野で生じている技能労働者不足に対応するため、高度な専門技能や経験を有する外国人に限り、英国内での求職活動を自由化すると発表した。技能や経験の判定方法はポイント制で、申請者は、学歴や職歴など5種類の得点エリアの合計が最低75点に達していなければならない。1月28日から申請の受付を開始する。
現在、英国で外国人が就労するには、まず最初に英国の使用者から求人のオファーがなければならず、また使用者が当該外国人のために就労許可証を取得しなければならない。そのため、国内で不足している高度な専門技能を有する外国人を英国に引きつけることが困難となっていた。
今回の新制度「高度技能移民プログラム」(Highly Skilled Migrant Programme=HSMP)のもとでは、5種類の得点エリアの合計が75点以上あれば、英国からの求人がなくても入国して自由に求職・就職することができる。この点で就労許可制度とは異なり、当面は既存の移民規則とは別枠の制度として運営される。
5つの得点エリアは、(1)学歴、(2)職歴、(3)過去の収入、(4)就労希望分野での業績、(5)一般開業医(GP)特別枠―からなり、各エリアの配点は下記の通りである。
- 学歴
博士号保持者=30点。修士号保持者=25点。学士号保持者=15点。
- 職歴
学卒レベルの職に5年(博士号保持者の場合は3年)以上就労=15点。上級レベルないし専門職で2年以上就労=10点加算。
- 過去の収入(年収)所得水準をもとに各国をA~Dのグループに分類
A (EU諸国、米、カナダ、オーストラリア、バミューダ、イスラエル、日本、韓国)
4万ポンド以上=25点。10万ポンド以上=35点。25万ポンド以上=50点。B (ポーランド、ブラジル、アフリカ、リビヤ、ハンガリー、チリ、メキシコ、エストニア、トルコ)
2万5000ポンド以上=25点、6万ポンド以上=35点、15万ポンド=35点。C (ジャマイカ、ロシア、イラン、モロッコ、ペルー、チュニジア、タイ、アルジェリア、ルーマニア)
2万ポンド以上=25点、5万ポンド以上=35点、12万5000ポンド以上=50点D (中国、インド、パキスタン、ナイジェリア、スーダン、ウクライナ、ジンバブエ、ケニア、バングラデシュ)
1万5000ポンド以上 25点、3万5000ポンド=35点、9万=50点 - 就労希望分野での業績
公表された研究論文や商業価値のある発明などで、「例外的な」業績である場合=50点、「重要な」業績である場合=25点
- 一般開業医(GP)特別枠
国家保健サービス(NHS)の一般開業医(GP)としての就労を希望する海外の医師を招致するための特別枠。
申請者は、上記の5つの得点エリアで75点以上に達することに加え、(1)英国の希望分野で就労し続けられる能力があること、(2)HSMPでの滞在許可期間中に公的資金に頼らずに本人および家族を養うのに十分な貯蓄ないし収入見込みがあること、(3)英国を自らの本国とすることができること―を証明する必要がある。
申請書は、内務省か外務省のウェブサイトを通じて入手し、最寄りの英国大使館に提出する。申請が受理された場合、まず1年間の滞在が許可され、さらに同一の資格のもとで最大3年間の滞在延長が許可される。合計4年間、高度技能移民として就労した後、定住を申請できる。
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