マルセイユ裁判所がPAREを拒否した失業者の訴えを却下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

失業者のナディア・トラベルシさんと労働総同盟(CGT)失業者連盟は、国立職業紹介所(ANPE)への登録に雇用復帰援助制度(PARE)への参加を義務づけているとして地域商工業雇用協会(ASSEDIC)を訴えていたが、マルセイユ急速審理裁判所はこれを却下した。

8月31日に仕事を失ったこの女性福祉指導員は専門指導員になるために長期の職業訓練を受けたいと願っていた。ところが、旧方式は最長4年間の職業訓練の受講が可能だったが、新制度は4カ月の職業訓練の権利しか認めていないため、彼女は新制度への参加を望んでいなかった。そこで、原告たちは、このようなPARE参加の強制的な側面を解消するために、ASSEDICに登録方式の転換を義務づける必要があると考えたわけだ。

CGTの弁護士エリザベート・サンギュネッティ氏は、「受給者はPAREへの署名を強く命令されている」と言う。したがって、契約当事者の自由で良識のある同意(あらゆる契約が両当事者間で有効となる条件)が保証されないことになる。この権利の侵害は急速審理裁判所が中止させる必要がある公共の秩序への明らかな混乱を構成しているというのが、同弁護士の主張だ。一方、ASSEDICの弁護人のイヴ・リナレス氏は、7月11日のコンセイユ・デタの判決に依拠し、PAREは労働法典に定められていない義務を追加するものではないと主張した。すなわち、失業手当の支払い条件は、「仕事を探している求職者」であり、ASSEDICの方式はこの条件に適応させているに過ぎないというわけだ。そして、同氏は、PARE契約の締結を拒否したトラベルシ氏も失業手当を受け取っていたと付け加えた。

11月9日の判決の中で、アンドレ・フォルタン裁判長はまずこの事実を確認する。しかし、裁判長は契約問題に関する原告の論拠に正確に答えている。「PARE契約の締結は、ASSEDICと国との間で行われた同意から正式に引き出された協定上の制度へ参加することだ。したがって、係争の対象である方式への署名は、ANPEと共同で定義された行動への参加の約束―すなわち、このプロセスへの参加の約束―に過ぎない」。裁判長は、「公共の秩序への明らかに不法な混乱」を確認することなく、審理中に提起された問題を管轄裁判所(この問題を実際に処理できる裁判所)の判断に任せた。

CGTは、「PAREは義務なのか」という単純な問題にきわめて複雑な答が与えられたと、困惑を隠せないが、今後も法廷闘争を継続していくと発表した。

ギグー雇用相は、PAREへの参加は失業補償を受けるための義務ではないと再度繰り返しながらも、「この新たな制度が長期職業訓練を望む人たちの障害になっている」ことを認め、詳細には踏み込まなかったが、「我々は長期職業訓練のために必要な予算措置を決定したので、問題の解決に向かっている」と説明した。一方、フランス企業運動(MEDEF)は、マルセイユ裁判所の判決に歓迎の意を表明するとともに、判決は「MEDEFが常に訴えてきたように、PARE契約の締結は失業手当を受給するための義務」であることを確認したと評価している。

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