6カ月連続で失業が増加
 ―10月の雇用統計

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年2月

雇用省が11月30日に発表した統計によると、10月の求職者数は9月よりも2万6900人(+1.3%)増加して、216万7800人に達した。6カ月連続の増加である。ILOの定義に基づく失業率は8.9%と横這い状態だが、月間に78時間以上働いた国立職業紹介所(ANPE)登録者を加えると、求職者数は259万2700人になる(対前月比で+1万9500人もしくは+1.8%)。

ギグー雇用相はコミュニケの中で、「フランスは他の先進国よりも好結果を残している」と述べているが、景気の冷え込みがあるにせよ、これが満足できる数字でないことは明らかだ。

9月の失業増が1万3100人にとどまったことで、政府はニューヨーク同時多発テロの影響による失業の急激な悪化はないと判断し、いくぶんかの安堵を感じていた。しかし、それから1カ月後、その安堵はおそらく吹き飛んだ。

第3四半期に経済成長と雇用はかなりの頑張りを見せたが、減速化の兆しはあちこちに見られる。投資は低迷しているし、輸出は落ち込み、企業家は意欲を失っている。ただ、雇用創出、賃金の上昇、石油価格の低下、そして低いインフレ率を支えに、家計消費だけが底堅い。

10月の失業統計を細かく見ていくと、憂慮するべきポイントが明らかになる。まずは、経営的理由に基づく解雇が8.5%も増加した(10月に1万9200人)。半年前と比較すると、春以降の雇用調整計画の増加を反映して、その数字は28%も増加している。経済減速化のもう1つの兆候は、代行職務の終了によるANPE登録者数が大きく増えていることにある(+13.5%)。また、有期契約の終了によって失業に陥った人の数も増加した(+6.1%)。合計すると、10月にANPEに登録した求職者数は36万4000人に達し、9月を8.3%も上回った。一方、ANPEから登録を抹消した者の数は、再就職者数(-5.5%)と研修参加(-7.2%)が減少したため、33万4600人(+5.9%)にとどまった。

このように労働市場の見通しはかなり暗いが、唯一明るいデータが1.7%減少した超長期失業者(2年以上)に関する数字だ。しかし、長期失業者(1年以上)数は0.6%しか減少していないので、1年以上2年未満のANPE登録失業者数は再び増加に転じた。これも懸念されるデータの1つである。

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