「貧困労働者」現象は主として男性に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

1998年3月時点の雇用に関するデータと1997年に行われた「税収」調査の分析から、国立統計経済研究所(INSEE)は、たとえ職業に従事している人であっても貧困と無縁でないとの研究結果を報告している。4年前の調査ではその数が120万人と推計されていた。

この報告でいう貧困労働者(1970年代に米国でつくられた英語的言い回しだとworking poor)は3つのグループに分類される。第1のグループは、雇用者以外の小規模農業者、職人、あるいは零細資本の商業者など、31万5000人で構成される。第2のグループは、年間を通して働いている45万3000人の(半数はフルタイムで働いている)雇用者である。INSEEによると、第2グループを構成する雇用者は、家計への負担(無収入の配偶者および子供)が結構あるのにもかかわらず、雇用主からほとんど家族手当を受給していないために貧しい生活を送っているという。最後のグループは、失業と就職を繰り返している40万4000人で構成される。

貧困労働者にその配偶者と子供、そしてその他の同居人を加えると、その数は270万人に達する。これは実に、貧困者全体の6割が働いていることになる。したがって、貧困分岐点(成人1人あたり月額所得3500フラン)以下のフランス人の過半数が職業所得を稼いでいることになる。また、仕事を探しているが、働いていないという人が1997年には170万人存在した。

INSEEが強調するところによると、低賃金をもたらす不完全雇用率が上昇し、失業と就職を繰り返す臨時雇用が増加した1990年から1997年にかけて、雇用者の貧困が顕著になった。もちろん、「低賃金」(INSEEの慣例ではSMICの1.1倍)雇用者の間にも貧困のリスクは存在するが、その割合はかなり小さい。

一般的な理解とは逆に、低賃金雇用者の貧困はむしろ男性に多い。すなわち、低賃金男性雇用者の12%が貧しく生活しているのに対し、女性のその割合は7%にすぎない。確かに、低賃金女性雇用者の数は男性の2倍に達するが、多くの場合、配偶者の存在によって慎ましい所得が補われているからだ。

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