堅調だった労働市場に失速の兆し

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

政府が2001年11月14日に発表した雇用統計によると、10月の求職者手当申請者が前月よりも4300人増加して95万1100人になった。2000年10月以来初めての増加であり、また増加幅としては1998年11月以来最大となった。エコノミストは、求職者手当申請者は今回の95万1100人から今後数カ月のうちに100万人を突破すると予測している。

また、国際労働機関(ILO)の基準でも、失業者は9月までの3カ月間に2万8000人に増加して151万人となり、失業率も5.1%に上昇した。求職者手当申請者数とILO基準の二つの測定方法で同時に失業者の増加が確認されたのは9年ぶりのことであり、失業時代の再到来を懸念する声があがっている。

他に目立った動向としては、正規従業員の数が1年ぶりに減少したこともあるが、それ以上にパートタイム労働者とくに女性の離職がかなり増えている。また部門別では、とくに製造業で経済減速の影響が大きく、繊維・衣料、遠距離通信、金属、自動車で人員削減が進んだ結果、現在これらの各分野の雇用水準は1984年に現在の統計を取りだして以来、最低となっている。

政府が失業者の増大で懸念していることは社会保障支出の増大だ。求職者手当申請者が10万人増加するごとに社会保障支出は3億5000万ポンド増えると、財政研究所は試算している。

製造業を中心とした人員削減は、しばらくは他部門の雇用増でかなり相殺されると見られているが、これまで経済成長を牽引してきたサービス部門でも人員削減が始まっていることが報告されている。

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