経済移民を合法化
政府は2001年10月29日、英国への経済移民(economic migrants)を合法化する新たな移民管理制度を導入すると発表した。最高で年間4万人の経済移民を許可する見通しである。現行制度では、外国籍の者が英国内で就労できるのは、英国人使用者からの求人申請がある場合に限られるが、新制度では、求人条件を満たすことを証明できれば、求職者個人が就労希望を申請できるようになる。
背景
発表にたったデービット・ブランケット内相は、密入国を斡旋する等の犯罪行為を防止するには、もはや経済移民を合法化するしか手立てはないとする一方、一部の部門で続いている人材不足を緩和できると、移民が経済に与えるプラスの影響を指摘した。
発行される就労許可証は、熟練と未熟練労働者の双方を含む、4分類のパターンになる見通しである。入国者数は、各カテゴリー毎に厳格に管理される。
第1のカテゴリーは、大卒者や、医師資格保持者、金融専門家など高い技能を有する者で、この枠で5000~1万人の入国が許可される見通しである。
第2のカテゴリーは、英国に留学中の大卒者・大学院生で、国内での求職活動を許可する。
第3のカテゴリーには、配膳や建設など、労働力が不足している業種での求職が許可された外国人労働者が入る。どういった職がこのカテゴリーに該当するかについては、労使の代表がガイドラインを策定する予定である。このカテゴリーは年間1万人に限定する。
第4のカテゴリーは、未熟練の季節労働者を対象とし、業種的には、農業や観光業が該当する。最高で年間1万5000人の入国を許可するが、一時就労許可証しか発行しない。
雇用法の対象に
現在、英国で不法就労している外国人労働者は、賃金も低く、健康・安全上の保護も受けていないが、新制度が導入された場合、海外から来た労働者でも英国の雇用関係法の保護対象になる。
新制度の志願者の大部分は、英国外からの申請を求められることになる予定だが、すでに英国内にいる亡命希望者に求職活動を許可するかどうかについては、まだ決定を見ていない。
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