組合が海外、給与未払い分を求める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

インドネシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年12月

インドネシア人出稼ぎ労働者保護協会(Kopbumi)のワユ議長は、2001年9月7日に南アフリカで開催された「人種差別に関する世界会議」のなかで、インドネシア政府は「海外出稼ぎ労働者の保護と権利に関する国際条約」を早急に批准すべきであると力強く訴えた。

背景

現在海外で就労するインドネシア人労働者は公式統計では約90万人とされている。不法就労者を含めると更に多数の労働者が世界各地、特に中東やマレーシア、シンガポール、香港などで様々な職種に携わっている。海外で就労する人たちの労働環境については長い間、労働活動家、労組、NGOや研究者などから問題視され、彼らの保護と権利を求める運動が行われてきた(関連記事として本誌2000年6、11月号、2001年5、10月号を参照)。

労働者の保護に関するこの国際条約は、労働者の受入れ国および送り出し国双方で批准され、労働者に対する最低限の保護基準を2カ国の間で設けることが望ましいとされている。そして条約の中で労働者は、結社の自由、職場の情報と安全を得る権利を保障されている。

海外出稼ぎ労働者の現状

Kopbumiのワユ議長は、「海外出稼ぎ労働者の保護に関する法律は、ここ数年間様々な方面から切望されているにも関わらず、インドネシア政府は具体的な行動をしていない。また、労働力としての児童や女性の取引を行う国際的なシンジケートに罰則を加えることもない」と、政府と出稼ぎ斡旋業者を厳しく批判した。

同協会のデータによると、マレーシア、シンガポール、サウジ・アラビアで死亡したインドネシア人労働者は、2001年1~8月までに29人に達し、82人が拷問を受け、4500人以上が台湾、マレーシア、サウジ・アラビアの使用者から逃げ出してきたとされている。

また、労働者への法律弁護・情報システム(Sisbikum)のアリエスト氏によると、インドネシアはアジアの中でも主要な労働力供給国とされ、約200万人(そのほとんどが女性)が2カ国間の労働保護規則に関する合意もないまま、出稼ぎに出ているという。同氏は、インドネシア政府は、フィリピンを見習い、海外出稼ぎ労働者の保護を行うべきだと主張した。

出稼ぎ労働者法的支援財団(LPBH TKI)のA.ムニール議長も、同財団の再三の要請にもかかわらず、政府が法的な労働者の保護を怠ってきたことを指摘している。そして、労働者を不当に扱っている斡旋業者に対して厳しい姿勢で望むべきであると主張した。

2001年12月 インドネシアの記事一覧

関連情報