教員ストライキ、各地に波及(続報)

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

本誌11月号でもお伝えした、公立学校の教員によるストライキが全国各地に波及している。教員らは、2001年4月に引き上げられた給与の増加分の支払いを各行政に求めているが、州側は財政難を理由に支払いを遅らせている。しかし、問題は財政面だけではないようだ。

現在までの経過

インドネシア教員連合(PGRI)に加盟している教員らは、2001年1月から14~30%引き上げられたはずの公務員給与が6ヶ月分支払われていないことに対して、2001年8月から各地でストライキを起こしている(その間学校は閉鎖となり、生徒にも影響を及ぼしている)。

前月号では、8月までの中央ジャワ州、東ジャワ州、東南スラウェシ州等で起こった教員ストライキについて述べたが、9月に入ってからは、1日に東ヌサ・テンガラ州の高校でストライキが行われ、ランポン州では数千人の教師が知事に対してのデモを行い、ジャンビ州でも同規模のデモが起きた。西ジャワ州の州都バンドゥンや南カリマンタン州の州都バンジャマルシン、北スラウェシ州のゴロンタロでも同様のストが行われた。9月6日には、東ジャワ州のマドゥンとプルバリンガで、中央ジャワ州のプルバリンガや東南スラウェシ州のムナにも波及した。14日にはバリ州のデンパサールで1000人の教師がストを行い、政府と地方行政に対し早急な支払いを求めている。

例えばジャンビ州では10月4日、州側からの一時的な50%の支払いを提示された教員がそれを拒否し、全額が支払われるまで抵抗しつづけると宣言するなど、問題の長期化が予想される。

中央政府と地方政府は、それぞれの管理不行き届きを批判しあっており、問題は平行線をたどっている。

ストライキの要因 ―低すぎる教員の給与

インドネシアの公立学校教員の給与は相対的に低い。例えば、首都ジャカルタ州の最低賃金は月額42万6250ルピア(1ルピア=円)であるのに対し、教員の初任給は70万ルピア前後といわれている。低い給与のため、教員が副業を持つことも珍しくない。広告貼りや出店、タクシー運転手などの収入で家計を支えていることも多い。また、生徒の父兄からの賄賂を受け取るケースもあるという。

PGRIのムハンマド議長は、今回のストライキは、教員に対する政府の配慮が少ない実情を反映していると主張している。その理由として、公務員給与が引き上げられた際に、一般の公務員に対してはすでに給与の支払いが行われていたにもかかわらず、教員が二の次になっているためだと説明。自身もバンドン教育大学で教鞭をとるムハンマド議長は、教員の医療保険制度や年金制度、よりよい労働環境、キャリア訓練などに関する福利厚生が不充分であると指摘し、給与水準が低い状態で教員に完璧を求めることは困難である、と述べた。

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