病院の週35時間制協約案:承認は半数以下にとどまる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

難航していた病院の週35時間制交渉がとりあえず1つの山を越えることになった。公務部門における増員のない時短という原則を曲げ、最終的に4万5000人の雇用創出を盛り込んだ政府案に、4組合が調印することを決めたからだ。しかし、労働側の対応は真二つに割れ、非調印組合はさらに抗議行動を強化していく構えを示しているだけに、このまま事態が収拾されるかどうかはまだ不透明だと言わざるを得ない。

9月27日に週35時間制全国協約の承認を求められた8つの病院職員組合は対応が完全に2つに分かれることになった。CGT、労働者の力(FO)、連帯・統一・民主(SUD)、キリスト教労働者組合(CFTC)は拒否することを決めたが、CFDT、管理職総同盟(CGC)、全国自治組合連合(UNSA)、全国病院管理職組合(SNCH)はこの文書に調印する。CGTとFOが署名を拒否すると、病院部門の週35時間制協約は少数派協約になる。組合員数第1位のCGTと第3位のFOだけで過半数を形成しているからである。

26日にはどの組合にとっても、難しい決断を迫られることになった。CFDTのフランソワ・シェレック連盟書記長は、「内容に前進があるので調印するが、雇用に関して満足しているわけではない」と述べた。というのも、雇用創出水準に関する「疑問」を拭い去れないからである。「政府が発表した4万5000人の追加的なポストで十分なのか、今の段階では誰にも分からない」というのが本音のようだ。

決定までに何時間もの議論が闘わされたCFTCでは、「きわめて僅差」の投票で調印拒否が決定された。調印しなければ調査委員会から排除されることになるので、「疎外」への不安が躊躇の一因になったが、「現場での不満が強すぎる」ことが最終的な態度に反映された。

一方、SUDとCGTに躊躇はなく、調印拒否は「満場一致」で決定された。CGTは、「政府の雇用提案は必要な希望水準に達していないと言うことにすぐに気づくだろう。1県だけは若干の前進を認めているが、その他の全県がこの協約を拒否した」と強調した。

政府にとっては、少数派協約であっても一方的な決定になるよりははるかに好ましい。しかし、そのために雇用省は、週35時間制の実施にともなう予算総額を見直さなければならなかった。2002年の病院予算では、3年間で実施される雇用創出4万5000人の1回分である1万2000人のコストを用意する。ギグー雇用相は、10月末に予定されている病院公務員高等会議の後で、労働時間編成、休暇、そして職業上の拘束に関するデクレを発表すると約束した。

それでもやはり医師組合などによって支持されている動員が病院内で広がりを見せていることに変わりはない。週35時間制に関する医師組合の分離交渉は10月5日に再開される。全国病院医師組合連合のラシェル・ボシェ会長は、「無期限ストで、幅広い統一運動の組織化を目指している」と述べている。

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