政府の雇用政策に世論の支持

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年12月

ジョスパン首相は9月2日にラ・ロシェルで雇用への「総動員」態勢を宣言し、9月6日に開かれた閣議ではその準備のための議論が行われた。現在の方針を維持し、懐疑論に屈することなく、フランス経済は喪失した雇用よりも多くの雇用を創出してきたと強調するのが、失業対策の成果を主張するために政府が展開してきた戦略である。

そして、ギグー雇用相はこのところ追加的な切り札として、1つの調査結果を活用し始めた。2001年初頭のフランス人は「過去数年よりも雇用政策を肯定的に捉えている」というその結論が政府を勇気づけてくれる内容だと判断されたからである。

失業と雇用政策に関するこの調査は2月21日から3月7日(すなわち、5月に反転した失業の増加傾向が始まる前)に世論調査会社IFOPが2010人を対象に実施したものである。雇用省研究・調査・統計推進局(DARES)が1984年以来毎年IFOPへ依頼して実施してきた調査である。

この調査によると、「最近の失業低下の最大の要因」としてトップに挙げられたのは、「若年者雇用に関する法律」(28%)である。「世界経済の一般的成長」(24%)や「不安定雇用者数の増加」を上回っただけに、ここでも政府は鼻を高くできそうだ。ただし、「週35時間制の実施」は4位にとどまっている。

「有効な失業対策」としては、「職業訓練への援助」が初めてトップを占めた。しかし、「社会保険料の軽減」は12%のフランス人しか取り上げなかった。また、「恵まれない人たちの社会復帰措置」を「有効」だと考えている人たちの割合も2000年(37%)より若干増加した。

一方で、フランス人は解雇に対して「断固たる政策」を求めているようだ。企業は状況を立て直すために従業員数を管理する自由を持っていなければならないので、「厳しい解雇規制はするべきでない」と考えているのは9%にすぎなかった。解雇規制に取り組もうとしている政府にとって、これはプロセスの確認となる。しかし、調査対象者の29%は、「企業は利ざやの縮小を受け入れるべきだ」と考えており、「早期退職への補助」と「労働時間の短縮」の順位はその後になる。また、失業削減のために不安定雇用に訴える政策は明確に拒絶された。

いまひとつ、過半数のフランス人は、無条件での若年者RMI(社会復帰最低所得)制度(一種の生活保護)の創設に反対しているが、社会ミニマム(基礎社会給付)は失業の苦境に立ち向かわせる援助としては少なすぎるとも考えている。そして、43%は全国商工業雇用協会(UNEDIC)の黒字を何よりも「雇用創出の促進のために活用」するべきだと望んでいる。

2001年12月 フランスの記事一覧

関連情報