組合加入数が790万人へ増加、組合承認件数は2倍増
貿易産業省が9月6日に公表した統計によれば、労働組合の加入者数は2001年3月31日までの1年間に4万6000人増え、790万人になった。1980年代初頭のピーク時に約1300万人を記録して以来、初めて2年連続の増加となった。
組合員数の増加傾向は、組合承認件数でも確認できる。労働組合会議(TUC)が9月に発表した調査結果によれば、2000年に締結された組合承認協定は、前年の2倍の159件にのぼり、これらの協定で5万8000人以上の労働者がカヴァーされている。
組合追い風の背景
組合に追い風が吹いている背景には、まず、過去9年間にわたって失業者が減り続け、就業者が増えているという客観的要因があげられる。1993年と2001年を比較すると、失業者数は約300万人から約145万人へ、就業者数は約2560万人から約2820万人へ、失業率は10.5%から4.9%へ、各指標とも大きく好転している(表参照)。
就業者数(万人) | 失業者数万人) | 失業率(%) | |
1993 | 2556 | 299 | 10.5 |
1994 | 2578 | 279 | 9.8 |
1995 | 2610 | 251 | 8.8 |
1996 | 2641 | 239 | 8.3 |
1997 | 2691 | 208 | 7.2 |
1998 | 2722 | 182 | 6.3 |
1999 | 2756 | 179 | 6.1 |
2000 | 2791 | 166 | 5.6 |
2001 | 2818 | 145 | 4.9 |
出所:イギリス国家統計局、Labour Market Trends, September 2001 注)各年各項目とも3~5月期の平均値
こうした客観情勢に加えて、労働党が1997年に政権に就いて以来推進してきた労使協調路線、「パートナーシップ」が、とくに組合承認件数の増加に寄与している。組合承認については、承認を使用者に強制する画期的な規則が昨年導入され(注1)、これが承認件数の増加に有利に働いているのは確かだ。しかし急増している承認協定の多くは、実際には、同規則の法的強制力によらず、労使の自主性に基づいて締結されており、パートナーシップがその環境を整えているというのが大方の見方だ(注2)。
懸念材料
もっとも、懸念材料がないわけではない。加入者数は増加しているものの、組織率はわずかではあるが低下している。2000年の組織率は29.4%で、前年の29.5%より低下している。
しかし、最大の問題は、若年層の加入者が少ないことである。労働力全体の平均年齢が34歳であるのに対して、組合加入者のそれは46歳。また、40歳代の被雇用者の組織率は38%であるのに対し、20歳のそれはわずか19%にとどまっている。
注
- 同規則は「1999年雇用関係法」に盛り込まれ、2000年6月に施行された。規則は、組合承認は可能な限り労使の自発性に基づくべきであると述べており、合意にいたらなかった場合、組合は中央調停委員会(CAC)に承認の法的手続を訴えることができる。詳しくは本誌2000年9月号参照。(本文へ)
- 労働党が1997年に政権に就いて以来広がりつつある労使間の「パートナーシップ」は、日本の労使関係に特徴的であった「暗黙的な」協調路線とは異なり、より明示的・契約的である。パートナーシップに唯一のモデルがあるわけではないが、最も端的な例をあげれば、パートナーシップを積極的に推進してきた合同機械・電気工労組(AEEU)は、使用者から唯一の交渉相手として承認される代わりに、争議行為に訴えることを自ら禁じる協定を締結している(本誌1999年1月号参照)。(本文へ)
2001年12月 イギリスの記事一覧
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- TUC大会、米テロで早期閉幕
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