ストの多くが外国投資企業で(ホーチミン市)

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

ホーチミン市では2001年前半に13件のストライキが起きたが、そのほぼ全てが民間企業あるいは外国投資企業で起きている。これらのストの主要な原因は、労働協約が適切に締結されていなかった、社会保険がない、時間外労働に対する賃金未払い、違法な労働条件、管理者・技術者・肉体労働者間の賃金格差などである。

ベトナム労働総同盟(VGCL)によると同市のストの7割以上が外国投資企業で起きており、中でも繊維、衣服、製靴産業の韓国・台湾企業が目立っており、これらの企業では、従業員をなぐったり、侮辱したり、罰として体を陽光にあてたりする場合もある。

非現実的な労働法の規定

ホーチミン市労働・社会問題・傷病兵局(DoLISA)副局長で、同市の労働仲裁協議会の議長を兼務するグエン・キム・リ氏は、「従業員の権利を守るべき(各職場の)労組および(労使の代表者から成る)労働調停協議会がほとんど役割を果たしていないため、使用者による違法行為を排除できないでいる」とし、「ストの理由が何であろうと、現状では、大部分のスト参加者は労働法に違反しており、従業員は法の保護を受けることができない。これは、労働法がストが合法となる要件に非現実的な規定を設けているためであり、法改正が必要である」とも述べている。ホーチミン市VGCLのマイ・ドゥク・チン副委員長も、この意見に賛成で、「ホーチミン市で起きたストのうち、労働法に違反していないストは一つもない。ストが合法になるために必要な手続きは、複雑かつ非現実的である」と語る。

労働法は、労働組合が、職場の労働調停協議会、仲裁協議会、そして地区あるいは省級人民裁判所に申し立てを行い、これらの組織による解決が不調に終わった場合にストを起こす権利を得ると定めている。ホーチミン市DoLISAのチャン・ダオ・ニン海外労働局長は、「労働法の規定に従うと、労働組合のない企業では労働者はストを起こすことができない。しかし労組がある企業は企業総数の3分の1以下に過ぎず、それらの大部分が国有企業である」と述べ、労働法は、労組が組織化されていない企業の従業員を十分に保護していないと考えている。

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