老齢退職者は2010に「ブーム」

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

2010年までに予測される老齢退職者の増加がいくつかの職業部門で雇用に「緊張」を引き起こす可能性がある。雇用省のインターネットサイトで発表された調査結果によると、教員にすでに生じている問題が、企業の管理職、看護士、介護助手、保母などにも拡大するという。

過去15年間を見ると、直前に就業者、失業者、休業者だった者を加えた老齢退職者数は年平均で82万人に達した。この数字は今後10年の間は増加しないし、むしろ減少する傾向にある。しかし、引退直前に働いている人たちのカテゴリー(全体の47.1%)だけは、老齢退職者数が著しく増大するという。老齢退職平均年齢が58歳から60歳までの間にあるこのカテゴリーの場合(全体では62.3歳)、年間の退職者数は、過去15年間では38万6200人だったが、2000~2005年には45万9000人、2005~2010年には66万人と急増する。伸び率は40%以上に達することになる。

雇用総数に占める老齢退職者の割合も、過去10年と今後10年を比較すると、1.3%から2.2%へ上昇する。しかし、「ベビーブーマー」引退の影響はどのカテゴリーでも同じというわけではない。一部の職業は「とりわけ老化した」年齢ピラミッドを示している。たとえば、管理職、農業従事者、ホテル・レストラン経営者、医師、司法職、公務などでは、50代の割合が大きい。この他、銀行・保険の管理職の場合も、50代の割合は30%を超えている。1970年代に大量採用が行われた一方で、その後そのレベルが維持されなかったことが、この状況を生みだした1つの理由である。

これから2010年までに、教員(年間で約3万7500人)、公務員のカテゴリーB(2万5400人)およびC(1万1900人)、車の運転手(1万8800人)、農業従事者(1万6600人)、保母ならびにホームヘルパー(1万5200人)、秘書(1万5000人)などで、老齢退職者が急増する。

いくつかの部門では、単に老齢退職者の後継者が現れないことにより、需給の調整がほとんど自動的に行われる。たとえば、農業従事者、家畜飼育者、木材伐出者、繊維労働者などの場合がこれである。しかし、「今日すでに緊張が目立っている」看護士、保母、教員、企業の管理職などは、需要を満たすのがますます難しくなっていきそうだ。

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