初任給に依然として大きな男女格差

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年11月

初めて仕事に就く男女は平等ではない。国立統計経済研究所(INSEE)が8月23日に発表した調査結果「キャリアを開始する男女間に見られる賃金格差」によると、まったく同じ職業訓練や雇用でも、民間部門で仕事に就いた場合、常に初任給が同じというわけではないという。

働く女性の姿勢は男性のそれと近づいている。かつては就業率が25歳から35歳にかけて低下していたが、現在ではそんなこともない。それにもかかわらず、初任給の男女格差が解消していないことを、INSEEは確認している。それどころか、その格差は拡大する傾向にある。すべての職業を対象とした場合、1970年代末の格差は15%だったが、現在では22%も男性の方が高い。

INSEEはその1つの理由について、「最初に仕事に就くときに、女性は男性よりもパートタイム職に就くことが多く、20代だと、この傾向はさらに加速される」と説明する。1990年代初頭、女性の最初の就職先の35%はパートタイムだったが、男性の場合は18%だった。

この「パートタイム効果」を別にして、フルタイム職への初めての就職を対象とした場合でも、初任給の男女格差は1970年代以降、一向に解消されていない。男性の初任給は女性のそれを平均で9%上回っている。男女がキャリアの最初で同じ種類の仕事(資格、業種、職種、企業規模、地域などに関して)に就いた場合でも、常に男女で異なる額の初任給を受け取っている。この場合の格差は8%である。ただ、1970年代末の男性の初任給は女性のそれを約10%上回っていたので、この場合の格差は緩慢にではあるが徐々に縮小してきたと言えるだろう。

すべての職業を対象とした場合、賃金の男女格差はキャリアが進むにつれて拡大する。採用から5年後の時点で、男女間の月給の差は、1970年代と同じで26%前後になる。したがって、全職業を対象とした月額平均所得の男女格差は5年間で、22%から26%へ拡大することになる。最初の雇用の場合、キャリアの中で給料が上昇するにつれて、格差が徐々に拡大する。また、今日の格差は22%だが、1970年代半ばには18%だった。INSEEによると、キャリアの進行にともなう労働時間の変更、内部の昇進、あるいは企業の移動など雇用事情の変化が格差の拡大を招いているという。そして、職業訓練の程度とキャリアが同一の男女を比較した場合でも、15%前後の賃金格差が存在すると結論されている。

2001年11月 フランスの記事一覧

関連情報