3カ月連続で失業者増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

雇用情勢が悪化している。国立職業紹介所(ANPE)への登録者数が7月には3万9600人増加した(+1.9%)。これで3カ月連続で失業増が記録されたことになり、関係者の間でも不安が高まっている。しかも、5月には5500人(対前月比+0.3%)、6月には8500人(同+0.5%)と比較的数字は小さかったが、7月の数字は1997年6月のジョスパン政権発足以来の最大の増加である。

7月の求職者数は211万6700人に達した。国際労働事務局(ILO)の基準による失業率は8.8%から8.9%へ上昇した。1997年8月以降、1998年1月、1998年8月、1999年2月、1999年8月、そして2000年7月に失業増が記録されている。しかし、そのどれもが今年7月の増加幅には達していない。

雇用省は失業増の原因として、「7月(バカンス)効果」の他に、雇用復帰援助計画(PARE)の実施で労使当事者によって決定される転職協定制度が終了した影響を強調している。この転職協定は、解雇の場合に、6カ月の職業訓練を義務づけていたので、対象となる労働者もこの間は求職登録をすることがなかった。政府はこの原則を社会近代化法案の中に再度盛り込んだが、まだ国民議会で審議の最中にある。

景気後退の影響も無視するわけにはいかないだろう。ギグー雇用相は、「フランスは欧州諸国全体を襲った景気減速化の影響を他国ほど受けていない」としているが、7月の失業増の一因が「経済活動の停滞」にあることを認めないわけにいかなかった。

政府は先ごろ決定された「追加的措置」に期待をかけている。すなわち、2002年予算に盛り込まれた5万人の連帯雇用計画、7月に発表された社会的排斥対策案、従業員20人以下の企業の週35時間制移行を促すために発表された柔軟化措置などだ。

夏の間も数々の人員削減計画が発表されたが、今後も失業の増加が確認されるようだと、左翼陣営の中で、春に激しい対立を見た解雇対策法案に関する議論が再燃することは間違いない。10月には上院が社会近代化法案をもう一度審議しなければならない。そして、共産党は解雇対策を求めるために一層の強硬姿勢を固めている。

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