テネシー州日産工場で組織化投票申請

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

全米自動車労組(UAW)は2001年8月12日、テネシー州スマーナの日産自動車組立工場における排他的代表権限を獲得するための選挙を全国労働関係局(NLRB)に申請した。UAWは1989年にも同工場での組織化を試みたが、得票比率2対1で敗れている

伝統的に中西部工業地帯を中心に勢力を築いたUAWの組合員数は、1970年の160万人から2000年末の約74万人へと大幅に減少している。現在、南東部で、外資系企業を中心に自動車組立工場、自動車部品工場が増加し、この地域での組織化が課題となっている。最近のダイムラー・クライスラー社のアラバマ工場での組織化努力は結実しなかったが、2000年12月以来、南東部で8自動車部品工場の組織化を果たした。自動車部品工場では、着々と実績を築いているものの、近年、自動車組立工場における組織化に成功していないため、日産工場で組織化を果たすことができればUAWにとって重要な勝利となる。

UAWが組織化を企てているのはスマーナ工場従業員約6000人のうち、生産・補修管理担当の約4100人である。2000年8月に組織化キャンペーンを開始したUAW役員によると、UAWは投票で勝利するために十分な従業員の支持を受けている。全国労働関係法によると、NLRBが選挙を実施するためには、4100人のうちの少なくとも30%の従業員がUAWを支持していることを示さなければならない。UAW役員は、具体的な人数には言及しないものの、3割の支持は取り付けているとする。代表権を得るためには、選挙で50%以上の票を獲得する必要がある。

UAWと従業員によれば、同工場の賃金水準はUAWが組織化した工場の賃金水準とほとんど差がなく、この点で強い不満はない。むしろ、仕事量の増加、けがの増加、そして引退後の給付が不十分であることなどが問題になっている。

UAWの組織化担当のボブ・キング副会長は、過半数の支持がなければ、選挙申請をしていないだろうと語り、組織化に十分な支持があると考えている。一方、日産自動車の広報担当者、トム・グルーム氏は、同工場における賃金や給付は、他社と比べ遜色なく、今後、自動車を増産する予定があるが、仕事量に見合った増員を行っていると述べた。また同氏は、日産自動車はNLRBの規定通り従業員に選挙権を与えるが、選挙でUAWが敗れるという見通しを持っている。

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