メガワティ新内閣誕生、新労相はFSPSIのヤコブ議長

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

2001年7月23日、国民議会でワヒド大統領の罷免が圧倒的多数で可決され、メガワティ副大統領の大統領昇格が全会一致で決定した。それに伴い、メガワティ新政権が誕生し、遅れること18日、新内閣のメンバーが発表された。

新労働・移住大臣は、最大手の全インドネシア労働組合連合(FSPSI)のヤコブ・ヌワウェア(Jacob Nuwa Wea)議長が就任した。ヤコブ新大臣は、メガワティ新大統領率いる闘争民主党(PDI-P)に所属している。

アル・ヒラル前労働・移住相が、ワヒド前大統領の省庁再編の際、移住大臣から横すべりした大臣だったため、労組側は度々「専門家以外の大臣就任」に不平を露にしてきた。また、ここ数年のインドネシア国内の労働紛争に関しても、前大臣の任期中には具体的な対策がとられずに、多くの批判が挙がっていた。

そのため、ヤコブ新大臣の就任には、長年最大手の労組で労働運動家として活躍、その中で培ってきた経験と人脈を生かした政策運営に期待が持たれている。

ヤコブ氏は1944年生まれの57歳。1960年代からマルハエニス (プロレタリアート) 労働運動に参加、1970年代はPTインドミルク社や飲料・食料品労働者組合で労働者の権利を訴え、1980年代から90年代にかけては、数々の労組で重要なポストを務めてきた。1995年よりFSPSIの重役に就任、2000年に同議長に選出され、現在に至る。

就任に際してヤコブ新大臣は、「ビジネスマンと従業員が働きやすい環境を構築し、インドネシアに投資を呼び込みたい。インドネシア人移民労働者に関する政策やシステムを全面的に改善することも、私が取り組みたいことの1つである。労働者が『犠牲者』となるような世の中にはしたくない」と語った。

懸案となっている、解雇規定に関する2000年第150号労働大臣令に関しては、「政労使の3者会談で合意に達するまでは、当面同大臣令が有効である」との考えを示した。

(2000年第150号労働大臣令の改定に関する詳細は、『海外労働時報』2001年8月号参照)

メガワティ新大統領が、「ゴトン・ロヨン(インドネシア語で相互扶助の意)」と銘打った新内閣。インドネシア国内の問題は、労働市場だけではなく、経済の回復、民族紛争の解決など山積みであるが、文字通り各内閣が「相互扶助」しながら、これらを解決して行けるかどうかが鍵となるだろう。

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