連続操業工場の増加により、夜間・昼夜交替勤務増える
―高まる夜間保育への需要

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

タイヤ製造のグッドイヤー社によると、タイヤ製造産業で週7日、24時間操業する工場が増えている。企業が、設備をできるだけ有効に使いたいという経済的な動機によるものだが、同社の工場では、連続操業を行う場合によく見られるように、各労働者は12時間シフトで働き、その代わりに週当たりの休日数は多い。しかし休日の曜日が固定していない上、1日の労働時間が長いため、家族と過ごす時間を十分にとれず、疲労が蓄積されやすいという問題が指摘されている。

労働安全衛生や医学の専門家による研究のいくつかは、労働者の疲労と事故との間に因果関係を認めており、コンサルティングを行うアラートネス・ソルーションズ社のマーク・ローズカインド社長によると、午前3時から午前5時までが最も危険な時間帯である。しかし、明確な差はないとする研究もある。

現在、連続操業を行っている工場と他の工場を比べた統計は存在しないので、連続操業を行う工場自体の危険性は確かめられない。しかし従業員の中には、不規則な生活による健康問題に悩んでいる人もある。連続操業を行うコーニング社の工場で12時間シフトに12年半従事してきた51歳の労働者は、常に昼、夜の勤務時間をこなさなければならないため、十分に順応できず、うつ病になった。コーニング社は、半分の労働者だけに昼間シフトをさせては不公平と考え、全ての労働者に、交替で昼と夜のシフトを与えている。

連続操業をしている工場の数についての統計はないが、エコノミストやコンサルタントによれば、ありふれたものになりつつある。連続操業を始める工場にコンサルティングを行っているサーカディアン社のビル・シロワ副社長によれば、鉄鋼や化学産業では操業停止に費用がかかり危険でもあるため、常に連続操業しているが、過去約10年の間に週7日24時間操業の工場が急増し、プラスティックや歯磨き用具の製造業にも広がっている。工場以外でも、最近では特にコールセンターや深夜営業の小売店などでの増加が著しい。ただし、多くの労働者は連続操業を行う工場での勤務を嫌い、いくつかの組合は連続操業に反対してストを起こした。

労使・自治体がナイトケア拡充へ

経済が24時間動き続ける中、母子家庭や共働き家庭のナイトケア(夜間保育)サービスへの需要が高まっている。使用者は、従業員を確保するために24時間営業のケアセンターを用意しつつある。州・市町村も、福祉改革によって労働市場に参入した母子家庭の母親に援助を与えるため、夜間に子供を預かる施設の増加を援助している。

フロリダ州では、1999年以来、午後6時から朝7時まで育児サービスを提供する施設が14%増加し1500施設を数えるまでになった。イリノイ州は2001年6月以来、10カ所のデイケア・センターの夜間、早朝ケアに、2年間100万ドルの補助金を提供する試験的プロジェクトを行っている。

フォード社、自動車部品メーカーのビステオン社、全米自動車労組(UAW)は、24時間営業の13施設を建設中である。その中で最初に営業を始めるミシガン州ディアボーンのセンターには、220人の募集に対し1090人が応募している。同様にシアーズ・ローバック社は、6市でデイケア・センターを午後11時まで開く予定である。

長時間子どもを預けることに対し、子どもへの影響という点からの批判もあるが、UAWのファミリー・ケア・コーディネーターとして夜間保育施設増設を要求してきたジュディー・ハーデン氏は、そのような批判は、今日の職場の現実を無視していると批判する。フォード社は、1993年にミシガン州リボニアの従業員の子息175名のための24時間センターを作った。しかし1999年に実施された調査によるとデトロイト地域の8万6100人のうち、31%が夜間勤務をしている時間給労働者で、58%が46歳よりも若く、ナイトケアをさらに拡充する必要がある。同社では、子どもが病気になった場合に、従業員が欠勤することが多いため、保育施設の拡充に理解を示している。

労働省の最新の(1997年)統計によると、全国的には6人に1人の労働者が夕刻、夜間、あるいは昼夜交替勤務に就いていて、この比率は約10年間変わっていない。しかし1997年は、福祉改革による規定変更で多くの母親が労働市場に戻る前にあたるため、最近では、この比率はさらに高くなっている可能性がある。生計を福祉に依存していた母親は、僅かな技能、資格しか持たないことが多く、他の人が働きたがらない夜間シフトのような仕事を受け入れざるを得ないからである。

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