セミナールーム
米国IT産業労組の活動と政策
―CWAのグローバル化、民営化、教育政策

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

日本労働研究機構では、2001年6月に全米通信労組(CWA)より4人の役員を招聘し、プログラムの一環として、米国IT産業労組の活動と政策をテーマとする講演会を開催した。その要旨を紹介する。

講師:

  • スティーヴ・バーテック(CWA第4008支部委員長)
  • クッキー・キャメロン(CWA第9412支部委員長)
  • キャロライン・ウェイド(CWA第1040支部委員長)
  • ポーラ・ターヴァー(CWA第2202支部副委員長)

CWAの組織と活動

CWAの歴史

CWA(全米通信労組)は、アメリカに100ほどある労働組合の1つであり、ナショナル・センターのAFL-CIO傘下の労組として活動している。

CWAの創設は1910年にさかのぼる。電話会社に勤務していた多くの女性労働者の不満、もしくは、その結果生じた衝突という背景からCWAは生まれた。

第1次世界大戦中の1918~23年に連邦政府が電話会社を統制下に置いたので、この期間は、企業組合が設立されることになったが、これは御用組合で、完全に企業側に支配される組合であった。その後、1935年に連邦議会は、電話分野に従事する労働者の環境を大きく変える法律を通過させ、企業組合を違法とした。

この法案の通過により、雇用を守るためにピケを張ったり、ストライキに参加する権利が労働者に認められた。また、その法律の施行を確実にするために、ナショナル・レイバー・リレーションズ・ボード(全国労働関係委員会)が設立された。

1938年に、31の個別労働組合が合併し、14万5000人の組合員を擁するNFTWが設立され、初代委員長にはジョー・バーンズが就任した。1947年には、組織の名称もNFTWからCWAに変更、組合員数も16万2000人に増えた。 なお、1938年以来、CWAには3名の委員長しか就任していない。バーンズ初代委員長、ウォッツ委員長、そして現在のバーン委員長である。組合員数も、14万5000人から80万人に拡大した。組織範囲も、通信関係のみならず公共部門、新聞、放送、娯楽産業、印刷、出版、大学関係者、介護などのサービス労働従事者に広がっている。

CWAの基本原理

CWAは、三角形の理念(triple treat)に基づいている。それは、オーガナイジング、コミュニティ・ポリティカル・アクション、リプレゼンテーションにより成り立っている。このどれか1つが欠ければ、そのほかの2つも崩れてしまう結果になるということで、この3つの要素を非常に重視し、この理念を誇りとしている。 21世紀においても、効果的でより効率的な労働組合であるためにも、この三角形を継続していくことが大事だと思っている。その三角形を維持することにより、組合員とその家族の権利を守ることができると信じている。

ストレス対策

大企業が小規模な会社に分割された結果、仕事が非常にストレスフルになったという結果が出ているが、組合はさまざまな角度からこれに対応している。 まず、組合が労働者を代表して交渉する際に、必ず彼らの健康を管理する制度を企業側が確約するよう努めている。 また、エンプロイー・アシスタンス・プログラム(EAP)、例えば働く人がストレス問題を抱えていたり、家庭での問題を抱えていて、就業時間内にカウンセラーのところに行く際には、会社が費用を肩がわりし、欠勤とはみなさないという制度で対応している。

カウンセリングの結果病気と診断された場合には、別の医者に診断を仰いだ上で継続的なケアが必要になってくる。その場合には、仕事から離れて、会社が設けているディスアビリティー・プランのもとで治療することになる。一たん治療が終わり、仕事に戻っても、また具合が悪くなり、治療に戻らなければいけない場合には、ケースによって、会社側から退職を勧告されることもある。 ちなみに連邦レベルでは、心身の健康管理に関して、企業側がきちんと管理するよう定めた法律が制定されている。  さらに、団体交渉の際に、ストレスが緩和された環境で仕事ができるよう、できるだけ時間外労働を抑え、ストレスにつながらない仕事のやり方や環境を企業側が提供するよう求めている。

リビング・ウェイジ

アメリカは非常に広い国であり、地域によって生活費は大きく異なる。これをカバーするための最低限のレベルとして最低賃金がある。最低賃金がその地域の交渉のベースとなる。交渉に臨む組合は、それを最低のレベルとして、賃上げ要求を積み重ねていく。交渉結果は、働いている人のスキル、仕事の内容、学歴等によって異なる。

もちろん、リビング・ウェイジが支払われるよう努力しているし、大半の場合成功している。しかし、組合員だけではなく、州議会議員等とともに働きかけていかなければうまくいかない。

リビング・ウェイジは、最低賃金よりも高いレベルで設置されるのが望ましいが、我々がかち得たリビング・ウェイジは、ミニマム・ウェイジからわずかに高いレベルにとどまっている。ミシガン州では、現在、手当がつく場合であれば1時間8ドル70セント、手当がつかない場合8ドル70セント・プラス2ドルである。

また、地域によっては、リビング・ウェイジがどれくらいであるべきか、そのレベルを具体化して協約に盛り込んだところもあれば、リビング・ウェイジに関して何の言及もされていない協約が存在する地域もある。リビング・ウェイジに関しての言及がされていない場合でも、リビング・ウェイジに関して何らかの具体性を示さなければいけない場合、組合としては、地域社会と一体になって、法案が州議会を通過するよう努力している。そうすれば、その法律は単に組合員だけではなくて、市民全員に適用されるので、地域社会全体の関心事項となるからである。

このリビング・ウェイジに関しては、建設業が先行している。建設労働者を組織している組合では、リビング・ウェイジではなくて、プリベイリング・ウェイジと呼んでいる。あるところでリビング・ウェイジに相当するレベルの賃金が一たん出されると、その業界全体において、それが1つの目安となる。これは法律で定められたルールでもないし、最低賃金でもないが、結局業界全体に波及する。建設関係の労働組合は、非常に組織力が強く、このプリベイリング・ウェイジは、19世紀初頭から続けられている。

ソフトウエア労働者の組織化

いくつかの支部では、ソフトウエア関係の会社に組織化を呼びかけてきたが、失敗に終わっている。ただ、ソフトウエア産業の景気が現在少し下降ぎみで、解雇される労働者も出ており、組織化にとってはよいタイミングかもしれない。CWA以外の組合もソフトウエア労働者を組織化しようと動いている。

これまでソフトウエア労働者の組織化が難しかった背景の1つに彼らの考え方がある。自分の仕事に自信をもちすぎ、自分の賃金は自分自身で交渉するという態度があったことである。しかし、現在の状況の中で、そういった考え方も変わってくるかもしれない。

組織の多様性

我々の組合の将来性は、多様性にかかっている。たとえ職場、職種、産業が異なっても、労働者であることにかわりはない。

ニュージャージー州を例にとると、公共部門労働者が3万4000人おり、彼らをカバーしている4つの労働協約があり、職種は全部で8000である。公共部門、民間部門それぞれに適用されるルールは異なっても、労働者として適用される共通のルールがある。それに基づいて交渉を行い、雇用維持やより良い賃金を求めていく。それが先述した三角形の理念に基づいた我々の活動の仕方である。

また、公共部門労働者には基本的にストライキ権が認められていないが、民間企業の組合員がピケを張った場合には公共部門の労働者もそれを支援していく。1人の組合員が問題を抱えていれば、その人だけがトラブルを抱えるのではなくて、組合員全員にとっての問題であるというのが我々の考え方である。

組合員数については、現在よりも多かった時期がある。組合員数の減少は大手企業が分割された結果であるが、組合が生き残るために、時代の変化とともに、我々も変わらなければいけない。そのときには、多様性がかぎになってくる。多様性の中の共通性というものを認識して、それをベースに活動している。

多様性が雇用維持に有利に働くこともある。ここ数年間、企業の再編や合併が続き、傘下のあるビル管理会社の280人いる従業員のうち80人をレイオフすることになったが、我々は、同じ傘下の電話会社に転職するという形で対応した。同じように、ケーブル・テレビ会社から別の電話会社に転職した事例もある。

このように、組合の中に多様性があれば、同じ仕事で退職まで勤め上げるのは難しいにせよ、少なくとも長期的に雇用が維持されるということでは、有利に働くといえる。

アメリカのIT状況

IT産業は、アメリカにおいて非常に競争の激しい産業の1つになっている。電話、ケーブル・テレビ・サービス、衛星システム等の産業である。

衛星システムは、比較的人気が高く、家庭用パソコンを持っていない世帯では、これを通じてインターネット・サービスに接続できるという利点がある。ただ、高速でのインターネット・サービスを提供するまでには至っていない。高速インターネット・サービスは、ADSLやケーブル・モデムで提供される。

一方、ケーブル・テレビ・サービスを提供している会社には、AT&Tのような長距離通信会社と合併をしたり、パートナーシップを組んだり、金融機関と合併するケースも見られる。この背景には、光ファイバーでのケーブル・システムを築き上げたいというねらいがある。これにより、通信市場への参入が可能になる。 また、地域通信会社も、みずからのネットワークをアップグレードし、ADSLなどの高速サービスや光ファイバー・ケーブルを通した提供を目ざしている。 これらの企業の中には、組織労働者もいるが、組合に入っていない労働者もいる。組織化されている企業が先頭に立ち、組合も努力を重ね、プロフェッショナルでかつユーザー・フレンドリーな、非常にハイスピードのサービスを提供できるようにしていきたい。

IT産業の問題点もある。強制的残業問題である。例えばベライゾン社では、規制緩和の結果として、競争力を高めるため人員整理を行ったが、その結果人員不足に陥ってしまい、強制的残業が導入された。これは、週始めやある日のほとんど終わりに、残業を命じるものである。 ただ、時間外労働の抑制に努力し、3年前に、1週間の時間外労働の上限を10時間に定めた。最近は、オフィスの中で働く人は週当たり7.5時間まで、工場などで働いている人にとっては8.5時間までというように、時間外労働は徐々に削減されつつある。

アメリカ企業のグローバル化

企業はグローバル化傾向を持ち始めている。この問題に対処するには、国境を超越した協力関係が必要になってきている。

CWAは、組織化については草の根レベルでの努力が必要だと考えている。上から指示を受けて努力をすることも大事ではあるが、伝統的な従来型の方法だけでは現状には太刀打ちできないと認識している。

また、民営化がグローバル化に拍車をかけている。AT&Tが分割され、イギリスではブリティッシュ・テレコムも民営化されたが、こういった民営化がグローバル化につながっているケースは多々ある。世界中のさまざまな国の政府が、公共部門に属していた電話通信部門を民営化する動きに出ている。1997年に、WTO加盟の68カ国が、声、データ、ファクシミリ通信に関する競争を認める合意をしている。  グローバル化がもたらすもう1つの結果は、多国籍企業が幾つもの国で事業展開している場合、その影響が1カ国にとどまらないことである。そのため、これらの多国籍企業の組織化が、労働組合の大きな課題となっている。

CWAとしては、ほかの国々で組織化を進めるためにも、アメリカの組織を強化しなければならないと考えている。この目標を達成するために、IT関連企業だけを組織するのではなく、ほかの産業の組織化も積極的に進めることが大事である。さらに、ほかの組合との合併も進めている。1つの例として、昨年、インターナショナル・ユニオン・エレクトリカル・ワーカーズ(IUE)と合併した。

また、CWAは、別途設立した資金を活用して、一般組合員が、勤務している会社・職場で組合員を募る活動も促進している。もちろん自分の職場や会社外においても組織拡大を目ざしている。

結局、CWAがこの多国籍企業との交渉で成功をおさめられるかどうかは、どれだけ合併が進められ、海外の労働者とどれだけ協力体制を築き上げられるか、にかかっている。

1つ例をあげる。数年前、ノーテルという、カナダに拠点を置く会社との協約交渉で難航した。この会社は、カナダではかなり尊敬されている、よい評価を持っている会社であったが、アメリカでは、労働者に低賃金しか払っていない、その他の労働条件もよくないということで、CWAはよい労働条件を獲得すべく協約を結ぼうと交渉した。最終的にこの団体交渉が成功に導かれたのは、カナダにおけるCWA組合員、そして、カナダの自動車産業労働組合のサポートがあったからである。

具体的なサポート方法は、この会社の本部に対して、抗議文書をカナダの組合員が送ってくれたこと、また、世論の関心を引くためにピケを張るという行動をとってくれたことである。さらには、カナダCWAの委員長がアメリカまで来て、交渉の席に連なり、自分たちも支援をしているということを行動で示してくれた。

多国籍企業との交渉を成功裏に導くためにも、国境を越えた形での労働組合同士の協力体制が大事であると考えている。

公共部門の民営化

アメリカの公共部門民営化の背景には、利益の追求があげられる。民営化は、企業にとってはよいことであろうが、公共部門労働者や組合員、そのサービスを受ける一般市民にはよくないことである。職が失われ、賃金がカットされ、手当も大きく削られてしまうケースもある。また、サービスの質も著しく低下し、逆にコストだけは急激に上がってしまうという結果にもつながる。しかも、政府や自治体が、みずからの責任から逃れられるということにもならないという、芳しくない状況が民営化の結果もたらされる。

民営化に際しては、そのサービスをどの業者に移行させるかは入札で決定される。しかし、政府や自治体は、必ずしも最も安い値段で応札した業者にそのサービスを移行させるわけではない。多くの場合、ある業者が決まる背景には、政治的なつながりやその企業が大企業であって、グローバルなインパクトをもたらすという理由がある。

民営化の動きはこれまで何回もあったが、その都度CWAは抵抗を続けてきた。幾つかのケースでは闘いが功を奏し、民営化がそれ以上進まなかったこともある。組合の努力だけではなく地域社会や地方議員も巻き込んで、民営化の欠点を浮かび上がらせ、どういった芳しくない状況がもたらされるのかを明らかにしていく運動をしてきたからである。

教育訓練政策

労使共同訓練の効果

労使共同の教育訓練の価値には、はかり知れないものがある。これは組合員にも、労働組合運動にも大きな効果をもたらす。CWAの労使一体となった教育訓練プログラムが組合員や使用者側に大きなインパクトを与えている。

過去15年間において、電話通信産業ほど大きな変化を遂げた産業はない。CWA組合員は、いわゆるデジタル革命の真っただ中にいる。組合員のスキルをアップグレードし、よい教育訓練の提供によって、彼らのエンプロイヤビリティーを高めることが大事である。  我々は、教育訓練プログラムをAT&T使用者側と組んで実施している。これは、「従業員の成長と発展のための同盟」と呼ばれ、教育訓練活動の1つの大きな柱となっている。 「同盟」は、収益ではなく、電話通信産業組合員の継続的な教育訓練を目的として締結された。これは全米でも評価され、幾つかの賞を受けている。

この教育訓練プログラムは、これまで我々が企業側と交渉して生まれたほかの教育訓練プログラムの参考にもなっているが、交渉に際しては、まず、教育訓練プログラムの便益がどういったものであるべきか、労働協約交渉の中で話し合われる。その結果、その企業文化の一部となる、あるいは企業の戦略計画を立てる上で欠かせない一部となっている。  こういった労使一体となった教育訓練プログラムは、先述のように、利益を上げることが目的ではない。また、利益を上げないことが、連邦政府や州政府から教育訓練のための資金援助を受けるのに有利である。

現在、技能労働力が不足しているので、労働組合とパートナーシップと組んでみずからの従業員に教育訓練プログラムを提供しようと思わない企業は間違った考えを持っていると言わざるをえない。労働組合は、その企業にとって強固な同盟を結べる相手である。 また、労働組合と共同で教育訓練プログラムを提供することは、企業にとっても大きな利点がある。その評価については同じ職場で働く人から聞いたほうが信じやすいし、信頼性もある。生涯学習の重要性というメッセージも、より信頼性の高いものになろう。

これらの労使一体となった教育訓練プログラムを通して、我々は労働者に生涯学習の機会を与えているとともに、労働者の雇用維持にもつながっていると思う。アメリカの職場では現在、さまざまな変化が起こっている。しかし、労働組合が働く者の教育訓練に関与していくことは全く変わらないであろう。

教育訓練プログラムの運営方法

どれだけ組合がこのプログラムにかかわっているかによって、そのプログラムの成功の程度が変わってくる。支部レベルでも、この教育訓練プログラムを推進し、組合員の参加を促すことが大事である。

教育訓練を受けるための費用、受講料やその他の費用の補助は前払いになっている。後払いよりも、前払いが1つの大きなインセンティブになると思っている。経済的に苦しい立場に置かれている家族にとっては、200ドル、300ドルは大きな金額である。前払いし、政府からの資金援助の払い戻しを待つのは大変なことであるので、先に肩がわりすることがプログラムへの参加を促している。

CWAが交渉して設立されたプログラムは、特に、職業に関連した教育訓練には限定されていない。組合員として全く違うキャリアを望む場合、もしくは、同じ会社で違った仕事をしたい場合には、これらのプログラムを活用することができる。

また、その組合員が万が一レイオフされた場合でも、教育訓練を受けた結果、似たような職に別の会社でつける、もしくは全く違った業界においても何か仕事を見つけられるという利点を持っている。  組織化されていない企業とも、共同の教育訓練プログラムを実施している。例えばシスコ社との例がある。軍事産業を離職し全く別の職を求めている人のためのテクノロジー教育をするとともに、H1B資金を活用して研修センターを立ち上げ、ITに必要なスキルを教育訓練するプログラムもスタートさせた。  教育訓練において男女平等を図るため、CWAは労働協約交渉の際に、必ず女性差別がないか確認している。連邦レベルで男女平等を促すための法律があるが、それに沿った教育訓練が実施されるべきだと考えている。また、女性の積極的参加を呼びかけている。さらに、CWAの組合員は、それぞれ違った企業で働いているので、不平等にならないように配慮している。  小規模会社の中には、見習制度を導入しているところもある。見習として会社に入り、就業時間後教育訓練を提供してもらうというものである。見習教育訓練のプログラムは、実技はCWAの支部などに来てもらって行うけれども、実技以外の講義は、コミュニティー・カレッジ等提携した機関で受講する形になっている。

アメリカ全体で認証されている資格として、コンピューター・ネットワークの運営に関するものがある。これを取得するためのプログラムも、CWAとシスコ社が共同して立ち上げている。資格を取ればもちろん仕事の上でもプラスになり、今の仕事を離れて別の仕事を探す場合にも、その人のエンプロイヤビリティーを高めるという意味で、1つ大きなメリットになっている。しかも、この資格はある特定の地域だけではなくて、全米どこでも通用するということで、大きなプラスになる。

コンピューターの実技を勉強する際には、CWAの支部にコンピューターが設置されており、そこの人たちから手ほどきを受けながら受講する形になっている。ただ、最初の段階では、シスコ社からだれか派遣をしてもらって、CWA支部において何人かをまず教育訓練してもらって、その教育訓練してもらったCWA支部の人たちが受講者を手助けするという形での教育訓練になっている。

CWA独自プログラム

外部の機関と協力して行っている教育訓練プログラムだけではなく、CWA内部で行っている教育訓練もある。CWA傘下組合が連携して、組合役員や職場代表のための教育訓練プログラムである。役員や職場代表として、どう労働組合を運営していくのかというような内容になっている。ビジネスとしての組合運営の仕方がわからないと、労働組合としてうまく機能しないと考えているからである。さらに、役員としてのスキルを高めるだけでなく、何が教育訓練の場で起きているのか認識する必要があるからである。

我々は、勤続20年、30年の熟練労働者としての経験は積んできているけれども、技術の変化の中で、これからの試練を乗り越えられないと考えられている年配の労働者のためにも教育訓練を提供している。例えば、日々進歩している光ファイバーに関しての知識を高めたり、電気関係についての新しい技術を身につけてさらに熟練労働者として貢献してもらうことを目的としている。

特異ではあるが、企業の合併や再編成により自分の仕事がなくなってしまう場合、他の職種に転換するための教育訓練費用を支部が全額負担している例もある。

(本文は、2001年6月13日に日本労働研究機構が開催した講演会の標記の4人の初月を編集したものです。より詳しい情報が必要な場合には国際部国際交流課までお問合せください。)

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