登録看護婦労組がAFL-CIOに加盟

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年9月

最大規模(10万人以上)の独立系登録看護婦労組である全米看護婦労組(UAN)は2001年6月28日、同労組代表者による投票を行い、アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)への加盟を決めた。UAN、AFL-CIOともに、看護婦の組織化、労使交渉における交渉力強化を目指した戦略的提携と位置づけている。

1999年、全米看護婦協会(ANA)は、労働問題を扱う全国組織UANを設立し、傘下の20数州の州看護婦協会の交渉力強化を目指している。看護婦は近年、医療機関による経費削減の対象になっており、人員不足(患者当り看護婦数の低さ)、超過勤務、低い労働条件などの問題で、看護婦の不満が高まっている。2001年6月に限ってみても、人員不足、超過勤務などを理由に、オハイオ州ヤングスタウンのウエスタン・リザーブ・ケアセンター/フォーラム・ヘルスに働く770人以上の看護婦(UAN加盟)が、5月1日以来50日間以上のストを行っているほか、ミネソタ州ツインシティーズのフェアビュー病院で約1400人の看護婦(UAN加盟)が、人員不足や労働条件の改善を求めて6月3日ストに入った。

しかし、ANAは穏健な立場をとり、看護婦の不満を十分に代弁していない面もある。このため、カリフォルニア州、ペンシルベニア州、マサチュセッツ州(約2万人の登録看護婦が加盟、全国第2の規模)などの州看護婦協会は、ANAから分裂して独自のグループを形成し、団体交渉にあたっている。さらに、看護婦に限らず多様な職域の労働者を組織している国際サービス労組(SEIU、11万人の看護婦が加盟)、全米州・郡・市労働組合(AFSCME)、全米教師連盟(AFT)などが看護婦を組織化する動きもあり、ANAは、組織内外で苦しい展開を余儀なくされている。全米で約17%の看護婦が組織化されているに過ぎないものの、人員不足などから、労組加入を望んでいる看護婦は多い。

UANは、AFL-CIOへ加盟することによって、AFL-CIOの人材、政治的人脈、研究成果を活用できるほか、AFL-CIO加盟労組による、UAN組合員の引き抜きを防止できると期待している。一方、AFL-CIOのジェラルド・シー政治問題最高担当者は、看護婦労組と協力して、患者の権利章典や処方薬など、医療関連の政治問題に対処することが可能になると語っている。

関連情報