週35時間制の生活への影響:61%は「改善された」

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

雇用省が5月14日に発表した「週35時間制が生活に与えた影響に関する調査」結果によると、過半数の労働者は労働時間の短縮(時短)によって日常生活が改善していると見ているが、労働条件の問題では評価が分かれる。

この調査は、1年以上前に週35時間制へ移行したフルタイム労働者1618人を対象に、2000年11月から2001年1月にかけて実施された。調査対象者の59%は自分たちの日常生活が「改善された」と答えたが、3%は「悪化した」、28%は「いかなる影響もなかった」と回答している。

職階が高くなるほど日常生活の満足度も上昇し、管理職では「改善された」が66%に達したのに対し、無資格労働者では57%どまり。反対に「悪化した」は後者の方が多かった。この職階による差は男性よりも女性の方が大きく、「改善された」は女性管理職で4分の3近くに達しているのに対し、無資格職に就いている女性の間では40%にとどまった。

一方、労働条件に対する時短の影響についての評価はもう少し微妙だ。すなわち、「改善された」(26%)と「悪化した」(28%)はほぼ同じ割合だが、それ以上に「時短は何も変えなかった」(46%)が圧倒的な多数を占めた。労働条件へマイナスの影響として挙げられているのは、「兼務の要求が増加した」(48%)、「同じ仕事に費やせる時間が減少した」(42%)、「仕事でのストレスの増加」(32%)、「新しい仕事の追加」(23%)などとなっており、兼務と労働密度の上昇が労働者の目には労働条件の悪化と映っているようだ。

また、4分の1の労働者は「実労働時間が時短協約に定められている時間を上回っている」と訴えている。とくに管理職の場合はその割合が過半数に達しており、大部分は代償措置もとられていないという。

日常生活が「改善された」(仕事および仕事以外)と答えている労働者の多くは、定期的に半日もしくは1日、あるいはさらに追加的な休日を取得できる労働者である。37%の労働者は定期的に、そして31%は定期的にではないが半日もしくは1日の追加的な休日を取得している。定期的に追加的な休日を取得している労働者の場合、34%は2週間に1日、23%は週に半日、21%は週に1日となっている。

10人中6人の労働者は、金曜日(33%)、水曜日(15%)、月曜日(11%)など、この休日を決まった曜日に取得している。一方、非定型的な勤務体制で働いている労働者の場合、時短が仕事に与える影響はほとんどない。また、週末労働へ与える時短の影響も限定的である。

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