失業は減少し続けているが、次第に速度は緩慢に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

フランスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年8月

失業の低下もそろそろ息切れの兆しが現れているのだろうか。雇用省の5月31日の発表によると、4月の求職者数は季節調整済みの数字は4000人だけ減少して、207万5400人。2カ月連続で微減にとどまることになった。3月の求職者数がすでに対前月比マイナス0.6%と低水準の減少にとどまっていたが、4月にマイナス0.2%とさらに数字が圧縮された。確かに、年間では33万2900人の求職者数がが減少しているし(-13.8%)、短時間就業求職者を含めた4月の求職者数は対前月比-1%ともう少し優秀だ(250万2700人)。しかし、国際労働事務局(ILO)の定義に基づいて計算される失業率は8.7%で改善が見られなかった(1年前は9.9%)。

ギグー雇用相はコミュニケの中で、「失業の減少がわずかであるとしても、減少しているのは好ましいことだ」と自らを鼓舞した。雇用省はまた、長期失業者(1年以上)と超長期失業者(2年以上)の減少の勢いは弱まっていないと主張する(月間で-1.2%、年間で-24.4%)。4月末現在、このカテゴリーの失業者は66万4000人を数え、全体の32%を占めている。雇用省はさらに、年齢別にせよ、男女別にせよ、すべてのカテゴリーの求職者の状況が改善されているとも指摘する。4月に比較的大きな改善が見られたのは50歳以上および25-49歳の女性であった。一方、25歳未満の求職者数はきわめてわずかであるが増加した。

一連の合理化計画が発表され、解雇規制措置に対する議論が活発な時期ではあるが、「経済的理由に基づく解雇」のために国立職業紹介所(ANPE)への登録者数が増えたとは言えない。このカテゴリーの登録者数は4月に2%、年間だと10.2%も減少している。ANPE登録者数全体が4月には4.2%減少しており、増加したのは臨時職の終了による登録カテゴリーだけである。

しかし、4月の成果が控えめだったことにより、今後も失業が減少し続けていくとの見通しには、かなり不透明な環境が現出した。したがって、雇用省は「アクセルを離す」わけにはいかないと主張する。さらに努力を続けるために、雇用省は、社会的排斥対策プログラムに含まれる最も恵まれない人たちを支援する措置、従業員20人以下の企業へ週35時間制が導入される2002年1月以降の雇用創出の活性化、そして新失業保険協約の枠組みの中で2001年7月1日以降に提供される個別的就職支援措置に大きな期待をかけている。雇用相は先ごろ、「求職者数は年末までに200万人を下回るだろう」と言明した。

だが、4月の数字が低調だっただけに、今後の行方に疑問も投げかけられている。ファビウス経済財務相は第1四半期の成長率について、「失望」を隠さなかった。国立統計経済研究所(INSEE)は数カ月前に第1四半期の国内総生産(GDP)の伸びを0.8%と予測していたにもかかわらず、実現されたのは0.5%にすぎなかったからだ。

その上、企業経営者を対象としたINSEEの最近の調査から、2001年の投資予測も下方修正された。さらに、ユーロ圏のほとんどの国が米国経済減速化の影響を感じ始めているだけに、欧州の景気も弱含みで推移していく可能性が高い。雇用にとって楽観できる材料は乏しいと言わざるを得ない。

2001年8月 フランスの記事一覧

関連情報