外国人労働の監督強化

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

労働省は外資系企業が外国から連れてくる外国人労働者の監視を強化する方針を発表した。労働省では大手の外資系、とくに通信、自動車部品、薬品・化学、銀行が本社からブラジル支社にかなりの人数を派遣して不法就労させているとして、2001年に入ってから36社を調査したところ、35社が、就労にあたって義務付けられている正式登録をせず、所得税申告もしていない。さらに勤続年限保障基金、社会保障分担金、社会統合計画負担金の納入もしない不法就労を行っていたために、調査範囲を拡大すると発表した。

外資系企業はグローバル化された市場で競争するために必要な労働力が不足していることを理由に、外国から労働力を持ち込むしかないと主張しているが、正式に就労ビザを取得しようとすると労働省の厳しい審査を受けねばならない。しかも労働省は申請された労働力が国内で調達出来ないと判断した場合にのみ許可を出すので、外資系企業によると正式に申請していては企業の生産に支障をきたすという。

労働省によると、98年から外国人労働者に対するビザは急増して9176人に達した(93年ころには2500人だった)。公社民営化の加速と経済の安定により外資の投資が増加した結果とみとめているが、98年から非合法就労も増加しているとしている。

労働省も社会保障院も、企業全体を監督する能力を持たないために、一時滞在のビザで入国した外国人が就労しているかどうか、明確には判別できない。そして企業は正式就労に対するビザ取得が困難の上に、給料水準に応じて種々の分担金と所得税の負担が掛かることを回避するために、無届け就労を続けているというわけだ。

労働省のビザ認可厳選によって2001年1~4月の認可件数は7378人となり、2000年同期の7768人と大体同水準となった。

労働省では、外国人労働者の就労が横這いや減少に入ったかどうかの判断はまだ出来ないとしつつも、2000年までに大量の多国籍企業が進出し、世界の500大企業の内400企業がブラジルに支社を設けた後、進出ブームは一段落して、外資が必要とする技術者の派遣は一応ピークを過ぎたと予想している。

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