ハリウッドの脚本家労組、暫定協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年7月

脚本家労組は、映画やテレビ番組がケーブルテレビや海外で再放送されたり、ビデオやDVDなどの情報媒体で販売された場合の利益の分配などを求め、現在の協約が期限切れとなるの2001年5月からのスト入りを示唆していたが、ハリウッドの大手映画スタジオやテレビのプロデューサーと2001年5月4日に暫定協約締結に至り、スト回避を決めた。1万1500人の脚本家労組がストを行った場合には、秋に放映されるの高視聴率時間帯のテレビ番組作成などに影響が及び、ロサンゼルス郡他では、関連労組合員を含め数万人の雇用が失われる恐れが出ていた。

脚本家労組は暫定協約で、映画脚本執筆の最低報酬の3.5%引き上げを得たほか、ケーブルテレビで作品が放映された場合の報酬など計4100万ドルの報酬引き上げを獲得した。特に、フォックス・ネットワークでの放映について、ABC, CBS, NBCの3大ネットワークの場合の3分の2の報酬となっているが、2年以内に3大ネットワークと同等の報酬支払いで合意した。また、DVDや外国での放送で作品が使われる際の報酬も引き上げられることになった。インターネット向けに書かれた作品についても、プロジェクトごとに雇用契約を交わし、雇用された脚本家への年金、医療給付の保証も初めて定められた。

金銭面以外でも、映画への貢献が正当に評価されていないと感じる脚本家が多い。映画では通常「○○監督の映画」と記されることが多く、あたかも監督が脚本を手がけたような印象を与える。映画の脚本は、脚本家の手を離れた後も、他の数人の脚本家の手を経て、書き換えられてしまうため、特定の脚本家の作品として扱われていないという思いもある。さらに、監督や俳優がマスコミを前に映画の宣伝をする際にも、脚本家が呼ばれることはまずない。脚本家労組は、当初、映画に「○○監督の映画」と監督の名を前面に出すことを制限するよう求めていたが、この要求については労使の継続交渉とすることで、労組側が5月3日に要求を取り下げ、一気に合意に近づいた。脚本家労組との暫定合意が成立したことにより、組織規模の大きい俳優組合がストに入る可能性も低くなった。同労組は6月末に協約異動期限を迎える。

2001年7月 アメリカの記事一覧

関連情報