日系自動車シート製作の下請け会社、PTカデナ社ストライキ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

インドネシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年6月

東ジャカルタ・プロガトゥン工業団地内の日系自動車シート製作会社PTカデナ社で、2001年3月29日未明、500人のグループが襲撃し、その爆弾によって2人が死亡、重傷9人を合わせ、20人が負傷するという事件が発生した。

この工場では3月19日から約600人の労働者が、100%の賃上げと停職された2人の労働者の復職を要求してストライキに入っており、生産は完全にストップしていた。襲撃の際には工場内で労働者400人が眠っていたが、午前2時ごろ、正体不明の武装集団が、労働者に対して「工場から出て行け、ストライキをやめろ」などと叫び、爆弾を投げたため、このような惨事となった。

事件の背景には、同社の労働者と経営側との数回にわたる交渉がうまくまとまらず、交渉が泥沼化していたことがある。最後の労使交渉は3月28日に行われ、ヤスオニイ社長も出席したが、交渉は決裂に終わったという。

このような事件にもかかわらず、カデナ社の労働者は、経営側が要求に応じるまでストを継続すると宣言し、

  1. 100%の賃上げ(後に75%まで引き下げ)
  2. 2人の労働者の解雇と停職の撤回
  3. 18カ月以上勤続している労働者に正規従業員の資格を認めること
  4. ルリチ副社長の解任、という4つの要求を依然経営者側に求めている。

インドネシア福祉労働組合(SBSI)のパクパハン氏は、経営者と治安部隊と官僚と暴力集団の結託は、ストライキの鎮圧の常套手段となっていると述べ、警察にカデナ社の役員の取り調べを要求し、それを怠ればマルシナさん事件が起きる危険があると警告した。彼は政府が2000年8月に国会で承認された労働組合いに関する2000年法令第21号(労働者の権利拡大)をより強力に実施するよう要求した。SBSIは4月7日にも真相徹底究明を求める国会前デモを行った。また、多くの労働組合(大ジャカルタ労働組合〔SBJ〕、独立労働組合連合〔GSBI〕、社会情報・法的支援財団〔Sisbikum〕、ジャカルタ労働協会、全国民主学生同盟、シャングリラ独立労働組合など)やNGOが襲撃を非難する共同声明を発表した。

その後、4月11日に犯人1人が逮捕され、犯行に加わった暴徒の1人が逮捕された。彼はある軍関係者から労働者を排除することを依頼され、2700万ルピアを受け取ったことを認めている。また、この軍関係者がカデナ社の幹部と携帯電話で頻繁に通話していたことも明らかになっている。

関連情報