EDFの2000年配当率、前年下回る6.0%へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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従業員積立基金(EPF)の2000年配当率が6.0%に決定したが、前年の6.84%を下回ったばかりか、アジア通貨・金融危機の影響うけた1998年の6.7%をも下回ったことで、関係者の間ではEPFの投資計画を抜本的に見直すべきだとの声が強まっている。

EPFは日本の厚生年金制度に相当するもので、1951年従業員積立基金法に基づき労使双方に掛金拠出を義務づけている。掛金率は従業員の月給を基礎に、現在、従業員が11%、使用者が12%となっている。積立金はマレーシア政府債、短期金融市場取引手段、貸付・債券、株式などで運用され、配当率はその運用状況に主に規定される。  2000年の総投資額は1811.6(前年1620.6)億リンギで、投資先の内訳は、マレーシア政府債に617.7億リンギ(34.09%)短期金融市場取引手段に414.4億リンギ(22.88%)株式に394.6億リンギ(21.79%)貸付・債券に376.3億リンギ(20.77%)不動産に8.6億リンギ(0.47%)となっている。

これに対する総収入は、112.9(前年112.4)億リンギ。投資先別では、マレーシア政府債が41.6億リンギ(36.82%)、短期金融市場取引手段が17.2億リンギ(15.19%)株式が20.1億リンギ(17.78%)、貸付・債券に33.4億リンギ(29.56%)不動産に0.17億リンギ(0.15%)などとなっている。

総収入112.9億リンギから、基金運営費2億5014万リンギ、死亡手当・不能手当支払い1億1089万リンギなどを差し引いた純収入は101.8億リンギで、前年の102.4億リンギを下回った。この純収入101.8億リンギが加入者970万人に支払われる。1998年は950万人に102.4億リンギが支払われた。

2000年の配当率が6.0%とこの20年間で最低であったことに対しては、EPF内部での意思決定過程をさらに透明化すると同時に、EPFの投資計画を抜本的に見直す必要性があるとの声が出ている。市場動向を的確に把握した投資行動をとるために、内外の著名なファンド・マネージャーを採用する案などが浮上している。

過去20年間のEPF配当率
1979年 1980~1982年 1983~1987年 1988~1994年 1995年 1996年 1997~1998年 1999年 2000年
配当率 7.25 8.00 8.50 8.00 7.50 7.70 6.70 6.84 8.00

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