ハンガリー/労働市場の現状任
国立労働方法論研究センター(National Labor Research and Methodology Center)の最近の発表によると、2000年12月の失業者数は1999年同月比で3万2100人の減少であった。2000年の1カ月当たり平均失業者数は39万500人で、これは1999年に比較して5%の減少となっている。
各地域別、技能水準別および積極的労働市場プログラムへの参加状況別に捉えた労働市場の動きを、以下のセクションで説明する。
各地域で失業率が低下
国内各地域において、失業者数は前年に比較して減少してきている。「中央地域」、「トランスダニューブ中央地域」、および「トランスダニューブ西部地域」では全国平均よりも早い速度で失業率が低下している。さらに、開発の遅れている地域や労働市場の状況が悪い地域においても過去12カ月の間に改善が見られた。(詳細は表1を参照)
表1 ハンガリーにおける地域別登録失業者数
地域 | 1999年12月 | 2000年12月 | 増減 |
ハンガリー中央部 | 50,049 | 41,182 | -17.7 |
ハンガリー北部 | 84,659 | 83,871 | -0.9 |
北部平原地域 | 94,873 | 90,751 | -4.3 |
南部平原地域 | 60,074 | 55,352 | -7.9 |
トランスダニューブ中央地域* | 39,676 | 33,539 | -15.3 |
トランスダニューブ西部地域* | 26,801 | 23,018 | -14.1 |
トランスダニューブ南部地域 | 48,477 | 44,696 | -7.8 |
合計 | 404,509 | 372,409 | -7.9 |
これらの地域は外国資本の直接投資(FDI)が国内で最も盛んに行われたところで、その労働市場は供給に対して需要が極めて大きく、技能労働者の不足の問題が生じている。例えば、ジェール市(トランスダニューブ西部地域の首都である)では、ドイツの有名な自動車メーカー、アウディ社が隣国のオーストリアから技術力のあるブルーカラー労働者の誘致を計画している。
昨年の失業率低下の例証として、次のことが挙げられる。全国の経済地域において(ただしハンガリー北部は例外)登録失業者数が前年よりも減少した。従来から労働市場の状況がよくないハンガリー北部でさえ、登録失業者数が1年前と同じ程度に留まった。最も大きな改善が見られたのはハンガリー西部で、改善幅は1.6%であった。さらに、失業率が高い地域においても、改善率が平均を下回るとはいえ、好ましい傾向がみられる。一方、ハンガリー北部では変化は見られなかった。
前年より少ない新規求職者失業者数
若年求職者については、2000年12月には登録失業者数がさらに減少した。2000年は、よりよい就職の機会とより高い訓練を受ける機会が増加し、若年失業者登録数は前年よりも1万5200人減少した。2000年の郡レベルでの職業紹介所における若年者の求職申請数は13%の減少を示した。
もう一つ重要な傾向がみられる。それは、労働力人口の中でも新規労働市場の失業率がさらに減ったことである。表2は、ハンガリーにおける新規就職者の分布を経済セクター別に示したものである。
表2 経済セクター別新規雇用の分布(1999年12月-2000年12月)
産業 | 1999年12月 | 2000年12月 | 増減 | |
農業 | 1,317 | 90 | -17.7(人数) | -24.8(%) |
製造業 | 2,054 | 1,711 | -0.9 | -16.7 |
建設業 | 476 | 387 | -4.3 | -18.7 |
有形(物理的)サービス | 1,473 | 1,313 | -7.9 | -11.0 |
非物理的サービス | 2,624 | 2,335 | -15.3 | -11.0 |
初期雇用(新規求職者) | 1,869 | 2,039 | -14.1 | -9.1 |
確認不能なケース | 12 | 18 | -7.8 | -50.0 |
新規求職者全体 | 9,825 | 8,791 | -7.9 | -10.5 |
ハンガリーにおける登録失業者の技能レベルを比較すると、約50%(正確には49.85%)の登録失業者が何の資格も持っていない。つまり、義務教育か中等教育を修了しただけで、専門的な資格 を持っていない。また、これまでこの割合に変化はみられない。資格水準を性別で見ると、技能をもたない者の割合は、男子失業者(46%)の場合は、女子失業者(54.2%)の場合よりも低い。
まだかなり高い公表された求職需要水準
過去3カ月の労働力需要(または雇用に対する需要)に関する公表によれば、前年同期比で7%の上昇となった。
地域別の労働需要では、1999年に比べ著しい変化がみられる。過去3カ月の平均に基づいてみると、企業の新規労働者需要もしくは新規雇用需要が南部大平原地域およびトランスダニューブ南部地域では減少したが、経済活動の最も盛んな地域(トランスダニューブ中央および西部地域、および中央地域)では新規求人者に対する需要が増加した(詳細については表3を参照)。
表3 過去3カ月間の経済地域別新規求人
地域 | 1999年 | 2000年 | 増減(%) |
ハンガリー中央部 | 6,289 | 7,426 | 18.1 |
ハンガリー北部 | 3,219 | 2,987 | -7.2 |
北部平原地域 | 2,501 | 2,457 | -1.8 |
南部平原地域 | 3,925 | 2,811 | -28.4 |
トランスダニューブ中央地域* | 1,955 | 3,532 | 80.6 |
トランスダニューブ西部地域* | 2,673 | 3,050 | 14.1 |
トランスダニューブ南部地域 | 1,862 | 1,659 | -10.9 |
合計 | 22,424 | 23,922 | 6.7 |
消極的および積極的労働市場プログラムへの参加
消極的および積極的労働市場プログラムへの失業者の参加状況をみると、次のようになっている。公共事業、訓練コース受講、仕事のための旅費助成金、仕事経験を得るための支援、雇用助成金の利用、などの積極的労働市場プログラムに関しては、下記のような現象が見られた。
1999年と2000年を比較すると、積極的市場プログラムへの参加には様々な減少の仕方が見られた。例えば、公共事業への参加は24.5%減少したが、訓練のような積極的労働市場プログラムへの参加は1.5%しか減少しなかった。
まとめ
労働市場の動きについてまとめると、ハンガリー経済において、登録失業者数(季節調整後)の減少は2000年12月になってさらに進んだ。
添付1 登録失業者の主な特徴
指標 | 1999年年12月 | 前月比 | 前年比 | ||
人数 | 人数 | % | 人数 | % | |
登録失業者 | 372,409 | 10,952 | 3,0 | -32,100 | -7.9 |
25歳未満 | 74,020 | -192 | -0.3 | -5,940 | -7.4 |
男子 | 202,227 | 11,952 | 6.3 | -17,924 | -8.1 |
女子 | 170,182 | -1,000 | -0.6 | -14,176 | -7.7 |
ブルーカラー労働者 | 309,638 | 131,118 | 4.4 | -24,949 | -7.5 |
ホワイトカラー労働者 | 62,771 | -2,166 | -3.3 | -7,151 | -10.2 |
非熟練労働者 | 185,346 | 6,660 | 3.7 | -10,999 | -5.6 |
大卒労働者 | 10,274 | -520 | -4.8 | -496 | -4.6 |
*1年以上の登録失業者
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