1999年に労災が増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

雇用が増えるとともに、労災や職業病も増加している。毒性物質や石綿への曝露だけが原因なのではない。2月28日に、職業リスク防止会議の年次総会へ出席したギグー雇用相は、「我々は、他の病気の原因となる粉塵の中での労働、不安定化、労働以外の生活と両立が難しい時間割、労働強化などが増えることを阻止しなければならない」と述べた。

全国医療保険金庫(CNAM)が実施した最新の集計結果によると、全職業部門で見た場合労災件数が70万1175件へ増加した(+3.24%)。CNAMは、この増加が被用者数の増加にともなうものだと見ているが、労働総同盟(CGT)と労働者の力(FO)は数字がかなり過小評価されていると反論する。

いずれにせよ、28日に約300人が参加した「大改革」要求デモからも明らかなように、労働医は厳しい時期にある。また、雇用相が「懸念している」医療赤字も深刻である。数年前から増えていない労働医の数は、民間の労働者1400万人ほどに対して6300人にすぎない。2001年には、220人のインターンのポストが開設され、労働医の資格を持たない500人の医師が「正規化」される。雇用相は「できるだけ短期間」のうちに、希望する一般医の「転換」が進むことを期待している。

さらに問題は山積である。28日、全国労働医職業組合(SNPMT)は組合員へ2月1日のデクレの規定を「ボイコット」するように呼びかけた。このデクレは、いかなる代替製品も見つけられない場合に使用が認められる一定の発癌性物質とグリコールエーテルなどのその他の毒性物質へ曝露される場合に、医学的禁忌とならない適性カードの作成を求めている。SNPMTはこのような慣行が倫理に反すると判断している。嘆願書も提出されているが、ギグー雇用相は「この問題で内容を変更させることにやぶさかでない」と述べた。

いま1つ、労働医たちの不満は、「労使関係再構築」の枠組みの中で経営側、民主労働同盟(CFDT)、キリスト教労働者同盟(CFTC)、管理職総同盟(CGT)によって12月13日に調印された労働衛生協約へ向けられている。この協約は、「労働者が特定のリスクに曝されていない場合、医学的視察を毎年ではなく、24カ月おきに実施する」と定めている。この協約は重要視されているが、雇用省は法律で発効させる必要がある措置についてなかなか正確な日程を決めようとしない。「国の姿勢の後退」へ労働医からの批判がますます強まる中で、ギグー雇用相は、「年末までに一連の法的措置をとるとは決めていない」と慎重な構えを見せている。

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