2000年に管理職の求人数が40%増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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雇用市場に明るさが戻ったおかげで、管理職たちはかつてないほど使用者に対して強力な立場を獲得することができた。2000年の管理職の求人数は12万8000人を記録し、対前年比で40%増加した。とくに好調だったのは、製造業、情報処理産業、金融業である。相対的に、求職者数は減少した。5年前には、1つの管理職ポストに平均すると54人の候補者が殺到したが、その数字が18人と激減した。このような背景があって、管理職とその企業との間に新たな関係が築かれつつある。

管理職雇用協会(APEC)のジャッキー・シャトラン事務総長は、「1990年初頭の危機以降、管理職は情緒的に帰属意識へ訴える経営談義に興味を失った。今日、管理職は経営から明らかに距離を置いている」と説明する。これからは、もはや採用そのものではなく、そのための交渉が話題になる。採用交渉の際に収入が30%も急上昇することが稀でない情報処理産業の場合などのように、話し合いは引き続き賃金が対象である。しかし、管理職は企業にそれ以上を要求しない。今後は、プライベートな生活と職業生活との均衡が大切になる。管理職は今日、企業が与えてくれる職業訓練と職務を去るときの能力に関心がある。シャトラン氏は、「管理職はこれまで、何年もの間雇用資格と柔軟性について話してきた企業の言葉を鵜呑みにしていたが、これからは管理職自らが改革のイニシアチブをとっていくことになる」と指摘する。2000年には、10%の管理職が企業を移った。APECは「移動が点在的な行動から恒久的な行動傾向へ変わってきた」と強調する。

企業がもはや長期の契約を結ぶことができないだけに、管理職はますますその立場を強化することになる。合併が相次ぐ不安定な状況にあっては、誰も未来を予測できないし、約束を守ることも難しい。

管理職の新たな要求に直面して、企業は候補者を引きつけるだけでなく、従業員を囲い込むという2つの課題を見据えながら、対応していきたいと考えている。シャトラン氏は、「募集は完全に企業戦略の一環となった。経済危機で企業は募集を中止したが、それが誤りだと気がついた。採用は景気の動向を反映させるべきではなく、企業の競争力を維持するためには長期的な視点で考えるべきなのだ」と結論づけた。

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