景気回復とともに、賃金も徐々に増加傾向に
―サーベイより

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

経済危機から4年目を迎えるタイで、外資系・合弁企業においては緩やかな賃金の上昇が見られることがHewitt Associates社の調査で明らかになった。Hewitt社は、タイ国内の外資系および合弁企業120社を対象に、2000年から2001年にかけての賃金動向について調査を行った。これによると、基本給ではブルーカラー労働者は4.9%から5.6%へ、管理職では5.7%から6.9%への伸びとなる見込みであることがわかった。同社のマナ博士によると、2000年から2001年のタイの低インフレ率を考慮に入れれば、この賃金上昇は妥当だとし、各企業は経済危機後の損失埋め合わせをしようと懸命になった結果が現在表れているのではないかと述べている。

一方業績給も、ブルーカラー職の5.5%増加に対して、上級職も6.2%の上昇が見受けられるが、職種による業績給の格差が見られた。この傾向を同博士は、企業がより業績主義になり、従業員の会社への貢献度を測るシステムの導入によって企業が変化してきている証拠、と語っている。

産業別では、IT 産業が基本給・業績給ともに最も高い上昇率を示している。たとえば、上級職の基本給は平均7.6%、ブルーカラー職は平均10.5%の上昇となっている。また、IT企業の回答の中で、38%の企業が職員の採用が難しいと感じており、また、51%の企業が職員を抱えていることに不安を感じていると答えている。IT分野は専門職の流動性が高く、職員を職場に確保するのが困難なためにこのような結果になっていると考えられる。

同社ではタイ以外にも、11カ国1015社を対象に同様の調査を行った結果、基本給の上昇に関して、インドでは12.4%から14.8%へ、インドネシアでも13.3%から14.8%の上昇となる見込みであることがわかった。一方、日本や香港では最も低い伸び率で2.2~3.8%、上海や中国の各都市では6.3%~9.4%の上昇となっている。

ちなみにタイの日系企業のアンケート調査では、2000年の賃金上昇率は約5%である。

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