インドネシア人専門家、ドイツで活躍中

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

ドイツにおいて2000年3月から、IT部門の外国人技術専門家に限定してグリーンカード(期間限定の労働許可証)が発行されることになったが、2000年7月のグリーンカード取得第1号は、北スマトラ、メダン出身のハリアント氏25歳であった。彼は、ハビビ前大統領の母校、リーネ・ウエストファリア工科大学(RWTH)の工学学位を1999年に取得し、優秀な成績で卒業。その間にも、コンピューター工学関連の国際的な学術雑誌に多くの論文を掲載させている。さらに、モバイル通信分野で2つの特許を取得した。現在は、ドイツの通信会社で研究を続けており、年収は約9万8000マルク(約4万3000ドル)で、インドネシア人の20代の平均賃金と比べると非常に高い年収を得ている。今後はアメリカでのMBA取得も考えているが、いずれは、母国インドネシアに戻り、母国の通信分野に貢献したいとの考えを持っている。

ここ数年、ドイツではIT関連の専門家に対する需要が増加してきており、連邦雇用庁のヤゴタ長官は、150万人の専門家が必要であると述べている。

アメリカでのグリーンカード取得は、様々な手続きが必要となってくるが、ドイツの場合、その取得は優秀な大学卒業者に限られている。ドイツでは、このグリーンカードを「ハイテク・ビザ」と呼んでいる。

現在、ドイツには5000世帯のインドネシア人が住んでおり、そのうち7割以上が大卒であると見られている。彼らの多くが、コンピュータ工学、航空工学のエンジニアである。

インドネシアからのドイツへの留学生は、ドイツでの高収入と、母国の政治不安定などにより卒業後も帰国しない傾向にある。しかし、インドネシア国内でもIT専門家の不足が問題になっており(本誌2000年9月号参照)、これがインドネシアの産業発展の遅れに繋がることが懸念されている。彼らのような優秀な労働力が高賃金などの理由で、ドイツだけでなく、アメリカなどへと国外に流出する現象は今後も続くと見られており、早急な対策が必要とされている。

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