2001年の最低賃金、24州で再引き上げ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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8州の最低賃金の引き上げに続き(本誌2001年2月号参照)、政府は2000年12月22日、この8州を含む24州での最低賃金の引き上げに踏み切った。

今回の引き上げが行われたのは、アチェ、スマトラを含む24州(詳細は表参照)。2001年から実施されている地方分権化にともなって、今後最低賃金は、中央政府に決定権はなく、地方三者賃金委員会の協議で決定される。

今回の引き上げによって、ジャカルタでは月額34万4275ルピア(100ルピア=1.2円)(約37米ドル)から24%アップの42万6250ルピア(約45米ドル)となる。バタムの工業地域では、42万5000ルピアから14%アップの48万5000ルピアとなっている。北スラウェシでは18万6000ルピアから100%アップの37万2000ルピアへの引き上げとなっている。

ゴロンタロ、バンタン、北マルク、バンカ・ベリタンといった新設の州に関しては行政側の準備が整っていないとの事情から、以前の所属州に従うこととした。

労働移住省のシャウフィ労使関係・労働基準局長は、今回の最低賃金引き上げに関して、「今後労働組合は、単に最低賃金を引き上げることに焦点を当てるのではなく、労働者の福利厚生を改善するため、使用者に対する交渉力をつけることが必要である」とコメントしている。

2001年の賃金上昇率は低迷の見通し

なお、国際的経営コンサルタント会社のHewitt Associates社の調査結果によると(調査は、外資系企業16社、国内企業13社、合弁企業9社で働く労働者を重役、中級管理職、専門技能者、事務・補助職、非正社員の5グループに分類して実施)、2000年のインドネシア労働者の平均基本給の上昇率は、13.3%から14.8%であった。最も賃金上昇率が高かったのは、非正社員であり、最低だったのは重役層であった。

2001年の月額最低賃金(単位:ルピア)

  2000年 2001年 増加率(%)
1 アチェ 265,000 300,000 13
2 北スマトラ 250,000 340,500 34
3 西スマトラ 200,000 250,000 25
4 リアウ      
  バタム 425,000 485,000 14
  リアウ本土 250,700 329,000 31
  リアウ諸島 300,000 421,500 40
5 ジャンビ 173,000 245,000 42
6 南スマトラ 196,000 255,000 30
7 ブンクル 173,300 240,000 38
8 ジャカルタ 344,257 426,250 24
9 西ジャワ 230,000 245,000 7
10 中央ジャワ 185,000 234,000 26
11 ジョグジャカルタ 194,000 237,500 22
12 東ジャワ 202,000 220,000 9
13 バリ 190,000 309,750 63
14 西カリマンタン 228,000 304,500 34
15 南カリマンタン 200,000 295,000 48
16 東カリマンタン 233,000 30,000 29
17 南スラウェシ 200,000 30,000 50
18 東南スラウェシ 210,000 275,000 31
19 中央スラウェシ 203,000 245,000 21
20 北スラウェシ 186,000 372,000 100
21 西ヌサテンガラ 180,000 240,000 33
22 東ヌサテンガラ 184,000 275,000 49
23 マルク 180,000 230,000 27
24 イリアンジャヤ 315,000 400,000 27

非正社員の賃金上昇率が最高であるという現象は、他のアジア諸国の賃金事情とは相反する。それでも、労働者階層間で際立った格差が存在することは、Hewitt社も認めている。

2001年の賃金上昇率については11.2%から12.4%の間と予測している。Hewitt社は、2001年の賃金上昇率が昨年を下回ると予測する根拠を詳細に述べていないが、調査対象となった企業の34%が労働者確保の困難に直面し、その他42%が労働者定着の問題を抱えている。

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