EU、ヨーロッパ株式会社の共同決定で基本合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

経営協議会の共同決定の拡大に関する経営組織法改正については、ドイツ国内でのリースター労相の改正案をめぐり、労働側の賛成に対して、使用者側は厳しく反対しており、現在年金改革と並んで最もホットな議論がなされている。

だが共同決定の問題は、ドイツ国内での議論とは別に、EU諸国で共同決定に反対する国の企業と従業員の共同決定を認めるドイツ企業の合併に際しても問題になっており、特に国境を越えた合併の形態としてヨーロッパ株式会社の形態を選択する場合に、いかに対処するかで諸案が提起されて議論がなされてきた。

この問題について、EU首脳が12月上旬のニースでの会議で基本的合意に達し、2001年の立法化に向けての展望が開けた(EUの項の2参照)。この基本合意によると、合併する企業の従業員は合併に際して使用者側と交渉を行うが、合併形態としてヨーロッパ株式会社を選択する場合、合併する企業の小さいほうが討議参加権(Mitspracherecht)を認めており、その企業の従業員の25%以上が合併企業に引き継がれるときは、討議参加権を持ち込むことができる。特に問題となるのは、EU諸国のうちで従来従業員の共同決定権導入に強く反対してきたスペインの企業とドイツ企業の合併だが、スペインは(他のどのEU諸国も同様だが)国内法として共同決定法を制定しなくてもよいが、スペインとドイツの企業の合併に際して本社をスペインに置く時は、上述の要件のもとにドイツ人従業員の討議参加権を受け入れなければならない。

細部の仕上げについては、担当大臣の間でさらに詰めの作業が残っているが、ヨーロッパでも国境を越えた合併が頻発している時期に、このような基本合意がEU諸国間で成立したことは、今後のこの問題の進展とともに注目される。

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