Verdi設立に向かって前進、産別労組は対抗ブロック形成

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

Verdi設立をめぐり、2000年11月に公共部門労組(TV)の委員長交替劇にまで発展した紛糾(本誌2001年2月号参照)は、TV内部でもブジルスケ新委員長のもとでVerdi設立の方向に向かって前進し、この中で12月18日にフランクフルトで開催されたVerdi設立団体(Verdi参加5労組首脳等で構成される)の総会では、2001年3月にVerdiが正式に発足した場合、ブジルスケ氏を初代委員長にすることを決定するなど、人事等に関する合意の成立を見た。これにより、3月19日のベルリンでの5労組の共同大会での正式発足に向けて大きく前進し、組合員320万人の世界最大産別労組の実現の可能性が大きくなった。

Verdi幹部会については、その構成と参加5労組間での幹部会員の配分が決定し、幹部会は、委員長1人、副委員長4人、人事局長1人、13の専門領域を統括する長13人の合計19人から構成されることになった。具体的には、委員長はブジルスケ氏(TV)、副委員長は他の4労組である商業・銀行・保険労組(HBV)、郵便労組(DPG)、職員労組(DAG)、メディア労組からそれぞれ1人を均等に割り振り、マーガレット・メーニヒ・ララーベHBV委員長とミヒャエル・ゾマー氏(DPG)は副委員長に決まった。また、人事局長は先の11月のTVの大会でTV副委員長に選出されたベアーテ・エッガート氏に決まった。

13の専門領域を統括する長は、参加5労組間で以下のような割り振りが決まった。

(1)金融サービス(HBV);(2)エネルギー供給、廃棄物処理(TV);(3)健康、社会サービス、福祉、教会(TV);(4)社会保障(TV);(5)教育、科学、研究(TV);(6)連邦・州(DAG);(7)市町村(TV);(8)芸術・文化、メディア、印刷、産業サービス(メディア労組);(9)通信、情報技術、データ処理(DPG);(10)郵便業務(DPG);(11)交通(TV);(12)商業(TV);(13)特殊サービス(DAG)。

これと同時に、争いのあった労働協約交渉地区の区分けについても、参加5労組間で13に区分けされる地区のどれを担当するかの配分が決定した。具体的には、TVがノルトライン・ウェストファーレン、ハンブルグ、ベルリン・ブランデンブルグ、チューリンゲン、ザクセン、ザールの6地区、DAGがニーダーザクセン・ブレーメン、ザクセン・アンハルトの2地区、DPGがバイエルン、ヘッセンの2地区、HBVがラインランド・ファルツ、北部地区の2地区、メディア労組がバーデン・ビュルテンベルグの1地区を担当する。

ファン・ハーレンDPG委員長は、これらの決定は公正になされたと積極的に評価し、これによってVerdiはTVの拡大としてではなく、全く新しい労組として設立されることが可能になったと述べている。また、ブジルスケTV委員長も、今回の決定で公平な利害の調整ができたと語り、Verdi設立に向けたTVの2001年3月の最終代議員大会の議決で、80%以上の得票で賛成決議が得られることに自信を示した。

このVerdi設立に向けた前進に対して、IGメタル、化学労組(IG BCE)、建設労組(IG Bau)、食料・飲食・レストラン労組(NGG)、鉄道労組の5労組が、サービス業部門でVerdiに対抗するブロック形成の動きを強めている。これは、Verdiと他の産別労組の協約交渉権限の妥協の問題(本誌2001年2月号参照)とは別に、ドイツでもますます増加する新たなサービス業の職種に対するVerdiの拡大を警戒する既存の有力産別労組の利害を反映する動きで、Verdi設立構想の進展とともに従来から進んでいたものである(本誌1999年8月号参照)。最有力のIGメタルの呼びかけで、5労組は12月18日にフランクフルトの会議で従来からの協力関係の積極的継続を確認した。ただ、ペータースIGメタル副委員長は、これはVerdiのような5労組間の合併を考えているのではなく、各産業内部でのサービス部門の協力を5労組で強化していくことを主眼目としていると述べている。

このような有力産別労組の動きと関連して、ゲルゼンキルヘンの労働・技術研究所は、産別労組の組織構造は各産業内部で増加するサービス業の活動に対して、まだ十分に適応していないとしている。同研究所はまた、サービス業は今後ますます個々の企業に分岐していくとしており、さらに、従来のどの産別労組の管轄に属するか明らかでない新たな業種も今後ますます生じていくとしている。

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