2000年のスト発生件数、過去10年の最低に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

2000年に入って経済の回復兆候が見え始め、新規雇用も増加し始めたために、ナショナル・センターは、過去の給料損失分を回復させる好機到来として、要求を呑まないならストで対抗すると主張していたが、サンパウロ州の首都圏とサントス地方を担当の地方労働裁判所の集計によると、2000年の域内スト発生件数は1991年以来の最低となっている。

過去10年では1994年の401件を最高に、毎年減少に入り、2000年は137件となった。労働省の発表によると、2000年中に公式、非公式を合わせると約200万人の新規雇用が創出されており、GDPも約4%の成長と予測されている中で、スト件数が減少したことが注目されている。

サンパウロ地方労働裁判所の見方では、労使対立から裁判所に調停を求める件数も1994年の367件から2000年は137件へと毎年減少している。同裁判所によると、労使ともに近年、交渉の成熟度を高めており、調停やストに移行するまでに、個々の企業や単位労組毎に合意を成立させるようになっている。いったん職を失うと再就職が困難なことも、労働者をストに動員することを困難にしており、いずれにしても労働者がストを回避しようとする傾向に変わりはない。

労働省では、2000年3月に労使間に調停委員会を設けるよう指導してきた結果、12月までの9カ月間に約20万人の対立が平均20日間の交渉で解決したと発表した。労働省によると490社が調停委員会を導入しており、2001年には1000社が採用するであろうと予想している。

労働省や労働裁判所の見方とは反対に、労働党と直結しているブラジル中央統一労組CUTジョン・フェリシオ委員長は「経済の成長を見て、企業家たちはストで対決するよりも交渉に応じた方がいいと理解した結果だ」と述べた。同委員長は、失業を怖れてストは減少しているという見方に同意せず、「4輪自動車工業労働者はストで要求を貫徹した」と主張した。しかし、ストを実施することの困難さは認めている。委員長は、自分がストを好み、今後もストが要求貫徹手段として最も有効な方法であると信じているが、良好な合意を成立できるならそれでもいい、と語っている。一方で、2000年のスト件数の減少は、2001年もストが減少する前兆ではなく、2001年は運動を統一して新たな闘争の年になると予告した。

しかし、労働裁判所では、2001年には、労使交渉による合意成立件数はさらに増加するだろうと予測している。

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