新繊維産業政策により人員削減が必要

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

2000年11月2日、中央政府は、繊維産業と既製服製造業に関し、「新繊維産業政策」(NTP)を発表、2010年までに、輸出額を現在の110億ドルから500億ドルにまで増加させ、インドを世界的な繊維産業国家に成長させることを目指すとしている。特に利益率の高い既製服の輸出額の比率が半分になることを目標としている。

中央政府は、NTPにより衣類産業の保護政策を大幅に緩和し、国際的競争力のある産業に育成することも決定した。規制緩和は、2つの面から進められる。1つは、海外からの直接投資の上限枠24%が撤廃され、外国投資促進委員会を通せば100%の投資が可能になった。もう1つは、50%輸出義務の撤廃である。一方、中央政府は、経営基盤の弱い零細企業や個人経営者の多い手織業に関しては、保護政策を継続する社会的必要性を認め、手織保護法を撤廃するサタヤン委員会の勧告に同意していない。

NTPは、家内製手工業について技術改善基金計画の期限付き実施を決定し、先進国の技 術を取り入れ、品質を国際水準にまで高め、生産性を50%以上向上させることを目指している。また、繊維産業を改革するために、民間経営者に特別な資金調達システムを準備する必要性があるとしている。紡績部門においては、綿製品を最新の技術で製造し、自由化し、輸出を促進することを強調している。しかし、低技術の手織職工がまだ多数存在し、インドではこの分野の近代化が懸案となっている。

カシラム・ラナ繊維大臣は、国営繊維会社の経営不良部門の民営化問題では、政府が詳細な調査に着手すると述べたが、経営状態が末期的に不振な企業の雇用を保護することは、人材の有効な配置や増加する労働力人口の吸収とはならないと説明し、労働者の利益に配慮しながらも、現実的で合理的な政策を実行すると述べた。

インド準備銀行によると、既製服の輸出は、過去の保護政策により、1987年度の14.03 億ドルから98年度は44.4億ドルに増加した。この間の年平均成長率は、10.9%でこれは 全体平均の9.7%を上回り、全輸出額の中で衣料品の占める比率も11.8%から13.2%に上昇した。これにより、生産、輸出と雇用問題はうまく調和していると見られていた。

しかし、政府は、WTO対策を立てる必要に迫られ、政策の中心は、小規模経営での労働集約的なものから大規模経営での資本集約的なものへ移った。この政策転換は、インド国内外の経営者側のロビー活動に屈服したように見える。雇用問題は副次的な地位へ移行されつつある。

しかし、今後雇用問題が深刻となることが予想される。過去の経済改革では、組合を組 織している労働者はストを実施し、雇用を確保し、未組織労働者は安定した雇用状態から 不安定な状態へ追いやられた事実がある。

インド全体を見ても、バジパイ首相は、毎年1000万人の雇用創出をすると約束したが、 まだ実質的な政策は実施されておらず、政府は増加する労働力人口を吸収する十分な雇用創出に苦慮している。