国民議会、女性の深夜労働禁止規定を撤廃

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

国民議会は11月28日から29日にかけての深夜に、製造業における女子の深夜労働禁止の撤廃を定める政府修正案を含む男女間の職業平等に関する法案を第2読会で可決した。この問題で連立与党内の対立を招いた騒然たる審議のあと、修正案は賛成100票、反対68票で可決された。共産党と緑の党は反対票を投じた。

政府は、「男女の職業平等に関する1976年2月9日の欧州指令」との整合性を獲得するために、法案へこの修正を付け加えた。1991年7月25日、欧州共同体司法裁判所のステッケル判決によって、製造業における女性の深夜労働に関するフランス法制の矛盾が指摘されていたが、同裁判所は、このあと97年3月13日の判決で、フランスが違法状態にあると宣告した。そして、同年11月30日以降、1日当たり95万フランの罰金刑が言い渡さ れた。

ギグー雇用相は、「ステッケル判決以降、女性だけしか対象としていないフランスの深夜業に関する法律は、法的に使用者へ対抗できなくなったので、効力が麻痺し、実際のところ時代遅れになった。深夜働く労働者全体に、保護、保証、そして代償を提供する必要がある。修正は労働者の保護の観点から、空白を満たすものである」と述べた。

法文は、深夜労働への依存は「例外的」なものでなければならないと定めている。また、「労働者の安全衛生を守る必要性を考慮し、経済活動もしくは社会的に有用なサービスの連続性を保証する必要性によって正当化しなければならない」とも定めている。企業もしくは事業所における実施、あるいは新しい労働者カテゴリーへの拡大は、反対の対象とな らない・・そして深夜労働への依存の理由を記した・・拡張部門協約、あるいは企業協約 もしくは事業所協約の事前的締結が条件となる。深夜労働と考えられるのは、21時から6時までの間に含まれるあらゆる業務である(これまでは22時から5時)。また、22時から7時までの間に含まれる連続7時間というもうひとつの時間(ただし、24時から5時まで の間に含まれる時間を含む)も、団体協約、あるいはそれがない場合には労働監督官の認可を得て、定めることができる。特例の場合を除き、深夜労働は1日8時間、週に40時間を超えることはできない。

深夜労働の実施を可能にさせる団体協約は、追加的な休日の形による代償、そして必要な場合には賃金補償の形による代償、さらには休憩時間の編成を定める必要がある。すでに深夜労働を実施している企業に対しては、対象労働者へ追加的な休日の形で代償を与えることが義務になるが、この新規定へ従うまでに1年間の猶予が認められる。

団体協約がない場合、使用者が真剣かつ誠実に交渉を行ったのであれば、労働監督官の認可を受けた後で、労働者を深夜勤務に割り当てることができる。

深夜労働が「緊急的な家庭の責務」(育児や介護)と両立できない場合、労働者は日勤へ復帰することができる。同じ理由で、労働者は深夜労働を拒否することができるが、その拒否を労働者の過失や解雇理由とすることはできない。また、日勤職への移行を望む夜勤労働者、あるいは夜勤職への移行を望む日勤労働者には雇用の優先権がある。妊娠中もしくは出産後の女性は、申し出があれば、妊娠期間および法定生後休暇期間の間、日勤職への配属が可能である。

特別な医学的監視制度が実施され(少なくとも6カ月おき)、夜勤の編成や変更については産業医へ相談しなければならない。

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