政府が失業保険新協約を承認

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年2月

政府は12月6日付の官報において、2001年7月1日に発効する失業保険新協約を承認する内容の雇用省令を公示した。この協約には、フランス企業運動(MEDEF)と民主労働同盟(CFDT)が中心になって構想した新雇用復帰援助制度(PARE)が盛り込まれている。しかし、政府と労働界の長い闘いの争点であった失業保険新協約が承認されたにもかかわらず、同じ日にニースで欧州サミットへの抗議デモを展開した各組合はPAREの導入決定に反応を示さなかった。

まだ、CFDT、キリスト教労働者同盟(CFTC)、管理職総同盟(CGC)、そして経営側によって調印されたすべての条項が確定されたわけではない。ANPE・UNEDIC協約と1月に国会で 審議される社会近代化法案によって最終的な内容が決定される。したがって、PAREは2001 年7月1日まで適用されない。この日から、UNEDICの手当を受け取っている失業者は、新たな手続きを開始することになる。登録までの18カ月間(現在は12カ月間)に4カ月働いていた場合、PAREに署名しなければならない。それから、1カ月以内に、その失業者は「自立度」の評価を担当するANPEの職員との最初の面接を受けることになる。そのあと、失業者は、能力、資格に対応する 雇用のタイプ、そして場合によっては転職について、現状を分析するために、個別活動制 度(PAP)に登録する。

さまざまな職業訓練給付や、地理的移動のための援助が提供される可能性もある。6カ月間でいかなる結果も得られない場合、ANPEは、必要ならば「徹底的」な能力の見直しを行いながら、PAPの「調整」に着手する。その次の6カ月間に、求職者は、「自らの職業能力、免状に基づく資格、知識、職業経験」に該当するあるいは、その地理的な移動能力と適合する、そしてその職業とその地域の標準的な賃金率で報酬を支払われる・・就職の提案に応じる義務がある。

何もなければ、以前の賃金稼得活動のおかげで獲得された期間、失業手当が維持される。本文にもはや盛り込まれていない手当逓減条項は、事実上廃止されたからである。制裁規定はすでに労働法典に定められているものと同じになり、政府はそれを決定する権限をUNEDIC へ認めなかった。

新しい規定もある。36カ月間で企業の創設・再開計画に失敗した失業者は、補償制度へアクセスすることができる。使用者と労働者も、この制度で社会保険料減額の恩恵を受けられる。2001年1月1日から、負担率は使用者が3.7%、労働者が2.1%になる。この最初の引き下げは28億フラン(1フラン=16.62円)に相当する。2002年にはさらに2回の引き下げが予定されているが、「失業保険制度財政が均衡しているという条件下にある場 合にしか実施されない」と雇用省は強調している。また、新協約は、高齢失業者手当、転職職業訓練手当、および転職協定手当の廃止を定めている。

承認された PAREは義務なのかどうかについては、調印当事者の見解とは対照的に、政府は義務ではないと考えている。したがって、失業者が登録を拒否した場合でも、失業補償に対していかなる影響も与えないことになる。しかし、労働法典は、失業登録方式について何も定めていないので、法廷闘争に持ち込まれる可能性も大きい。

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