最低賃金100ドル計画、国会で議論

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年1月

毎年5月1日に改訂される最低賃金は、政党や政治家が常に政府に引き上げを要求して、政治的に利用する習慣になっており、2000年も政府が2001年の国家予算案で、5.57%引き上げて現在の151レアルを159レアルにする計画を盛り込んだところ、与野党を問わず「100ドル、約182レアルに引き上げないなら予算案審議に応じない」と発表して、議員各自が気勢をあげた。カルドーゾ大統領はこれを逆手に取って、大統領自身も100ドルへの引き上げを希望しており、国会がこれに同意するなら、最低賃金の引き上げに伴う支出増を賄う収入源を国会が見つけて欲しいと提案した。

最低賃金は、社会保障制度の年金、失業保険、地方交付金、地方公務員の給料などに反映されるために、国家財政に与える影響は大きく、財政再建を図っている政府は、インフレ上昇を補う程度の調整に留めたいところ。このためマラン蔵相が国会で、政府財政は5.57%の調整が限度であると説明したものである。最低賃金問題はこれから国会で、政治目的をからめて、引き上げに必要な財源のあるなしにかかわらず、2001年5月1日に政府決定として発令されるまで、議論が続けられる。

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