台湾への労働者派遣に、より厳格な規則適用

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

2000年9月中旬に開かれた台湾市場に関する会議で、労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)のグエン・ルオン・チャオ副大臣は、台湾の労働当局が、労働者の能力と雇用主の評価に基づき1年間に1万5000人の外国人労働者を一時解雇すると決定したことに触れ、労働者海外派遣会社に対して、台湾の労働市場から締め出されないように、労働者の採用を厳格にし、台湾が労働者に求める高い能力や資質に十分な注意を払うよう促した。現在、台湾では、ベトナム人労働者は、マレーシア、インドネシアなどの近隣諸国の労働者との間で、厳しい競争にさらされている。労働者海外派遣会社の経営者によれば、ベトナム人は中国語能力に劣り、健康にも問題がある。MoLISAの統計によれば過去10カ月間に、台湾に派遣された6025人のうち306人が健康上の理由あるいは懲戒処分で本国に戻された。

ベトナム人労働者にとって、最大の海外労働市場は韓国、リビア、日本であったが、そして今、台湾がこれに加わろうとしている。台湾では、潜在的に大きな労働需要が見込まれるため、台湾が海外労働者数削減に踏み切った今こそ、ベトナム人労働者の実績を築いておくことが必要である。そこで2000年8月最終週に MoLISA傘下の海外派遣労働者管理局(DAFEL)は、台湾市場の高度な要求を満たす労働者だけが渡航するように指針を出し、その中で新たな規制と料金規定を定めた。規制では、労働者に具体的な要件を定めている。例えば、台湾の家庭で働くベトナム人女性は、中学校を卒業していなければならず、27歳以上、家族の世話をした経験と家事能力を持ち、中国語能力があり、入職教育クラスに出席する必要がある。より一般的な規制として、台湾に労働者を派遣している労働者海外派遣会社が MoLISAから免許を取得することを定める予定である。さらに指針では、労働者海外派遣会社が徴集する月間管理費を労働者1人につき32ドル未満とし、仲介手数料については、契約期間が2年以上の場合には965ドル以下、2年未満の場合には643ドル以下と定めている。新たな規制は、派遣会社に対し、労働者が台湾へ出発する15日前に、契約破棄に備えた損失防止基金を準備するように義務づけている。この基金は、労働者ではなく、労働者海外派遣会社自身が積み立てる必要がある。なお、製造業、商業、建設業、医療センター、療養所で働くベトナム人労働者には、台湾の法定最低賃金以上を支払わなければならない。

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