ユナイテッド航空パイロット、4カ年協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年12月

ユナイテッド航空は、パイロット労組(ALPA)と2000年8月27日暫定合意に達した。4カ年暫定協約は、約1万人のパイロットが10月に行う投票で承認され、正式なものになった。同社はパイロットに対し、6カ年協約が終了した2000年4月12日まで遡る21.5%から28.5%の賃上げを直ちに行うほか、2004年まで毎年4%の昇給、同社の企業年金保険料負担率を前の協約の約1%から11%に引き上げるという大幅な譲歩を示した。同社パイロットは、航空業界で史上最高の待遇を受けることになる。しかし、最終的にこの費用を負担させられるのは、これまで同社パイロットの残業勤務拒否による発着時刻の混乱に嫌気をさしていた消費者ということになりそうである。ユナイテッド航空パイロットは、1994年に同社株25%の保有と引き替えに15.7%の賃金引き下げを受け入れたため、これまで同業他社よりも低い給与水準にあった。そのため ALPA は、ユナイテッド航空パイロットの協約で給与水準の回復を重視して協約交渉にあたり、今回の協約を過去の低賃金を償うものと位置づけている。

大手航空業界パイロットの協約は、パターン・バーゲニングの色彩が濃く、2、3カ月後にアメリカン航空、デルタ航空なども追随して高い要求を掲げることになると予想される。実際、2000年10月時点でのデルタ航空パイロットの要求は、2000年5月まで遡る21%から28%の賃上げを直ちに行うこと(そして、3年協約の終了までには30%から49%の賃上げ)で、ユナイテッド航空パイロットの昇給よりも5%から8%高い。また、デルタ航空パイロットの中には、ユナイテッド航空パイロットが行ったような残業拒否を11月から行うよう提案する者もあり、費用削減のためにパイロットの残業への依存を増やしているデルタ航空経営陣を警戒させている。

ユナイテッド航空は今後、2000年7月に協約更新時期を迎えていた5万人の国際機械工組合(IAM)との協約締結に向け交渉するが、同労組の機械工、チケット・エージェント、手荷物取扱係なども、30%近くの大幅賃上げを望んでいる。

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