政府、商店営業時間の延長を決定
7月初め、政府は議会に商店法改正案を送った。政府与党が議会で単独過半数の席を占めているため、同法案の可決は、単なる手続きにすぎないものと見られている。これは、薬剤・石油化学市場の規制など、他の様々な分野に及ぶ改正の一環をなすものであり、スペイン経済の競争力増大、経済成長・雇用の促進、そしてすでに3%をこえたインフレの抑制を目的とするものである。
商店法改正の主眼は休日開店に関するもので、中小規模の商店については完全自由化、すなわち売場面積300m2未満の商店は、自由に休日営業ができるようになる。一方、大きな議論を呼んでいるのが大型店舗の休日営業で、2001年に年間9日の休日営業を可能とし、以後2004年にかけて毎年1日ずつ増やし、最終的に年間12日とすることになっている。
自治州別に見た営業が許可される日曜・祝日の日数
アンダルシア | 8日 |
アラゴン | 年ごとに定める |
アストゥリアス | 8日 |
バレアレス | 8日 |
カナリアス | 8日 |
カンタブリア | 10日 |
カスティーリャ・イ・レオン | 8日+各市町村の申請に基づく1日 |
カスティーリャ・ラ・マンチャ | 8日 |
カタルーニャ | 8日 |
エストレマドゥラ | 8日 |
ガリシア | 8日+各市町村祭の日 |
マドリッド | 14日 |
ムルシア | 8日 |
ナバラ | 8日 |
バスク | 8日 |
ラ・リオハ | 8日 |
バレンシア | 8日 |
出所:商工会議所最高審議会
同様に、週営業時間の拡大とその自由配分も重要なポイントである。現行法では週の営業時間は72時間が上限で、1日12時間・週6日営業というケースも少なくなかったが、改正案では週90時間の営業を認めている。
しかし、商店営業時間の自由化は、各自治州レベルの規制とぶつかりあうことにもなる。現在では、営業可能な休日日数は、自治州によって様々である。一番規制が緩いのはマドリッド州で年間14日であるが、8日としている自治州が最も多い。また自治州の規制はこれ以外にも、大型店舗に対する各種の制限を設けている。
今回の自由化法案に対しては、大規模店舗を利するものであるとの批判が強い。というのも、営業時間の延長ができる資金力を持つのは大規模店であり、それによって市場から中小規模店を駆逐してしまうことが予想されるからである。
スペインでは、売上げ全体に占める大規模店舗の割合が、すでに欧州平均(16%)よりも高くなっている。売場面積2500m2の店舗は小売業の売上げの31%を占め、EUでこの数値を上回るのはフランス、イギリス、ポルトガルの3カ国のみである。一方、スペインでは売場面積100m2未満の小規模店の占める割合も16%と、ギリシャ、イタリア、ポルトガルに次いで高い。
他の欧州諸国と比べ、スペインにおける大規模店舗の進出はより遅かった。しかし、注目に値するのは、スペイン人の消費傾向が急速にこれら大規模店に向かったことである。大規模店舗が総売上げに占める割合は、1976年の6%から99年には31%にまで伸びている。逆に、伝統的な商店からの客離れは、とどまることがないようである。1976年には、スペイン人消費者の出費の86%が小規模商店でのものであったのに対し、現在ではわずか16%余りである。
他方、欧州諸国の多数は、日曜日の商店営業に関してかなり厳しい規制を維持している。ルクセンブルク、ポルトガル、スウェーデン、イギリスでやや自由な傾向が見られる一方、ドイツ、フィンランド、オランダ、イタリアではスペインと似た規制が敷かれている。フランスの場合は特別で、小規模店舗優遇政策として、従業員のいない小規模店だけに日曜・祝日の営業を許可している。
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