失業率9%台継続

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

連邦雇用庁が発表した2000年5月から7月にかけての雇用統計によると、ドイツの失業率は過去3カ月間引き続き9%台で、失業者数も380万人前後を推移し、同庁は今年後半にかけて楽観的な見通しを示している。

2000年4月から失業の算定方法の変更があったために、失業率に関する統計上の数字は3月以前と比べて若干低いものになるが(本誌2000年7月号参照)、それでも5月の失業率は全ドイツで9.3%で、前月比0.5ポイント低下した。西独地域では7.5%、東独地域では16.9%で、前期比でそれぞれ、0.4、0.9ポイント低下した。5月の失業者数は、全ドイツで378万8300人で、前月比で19万8000人減少、前年同期比で20万9800人減少した。地域別では、西独地域では245万9100人、東独地域では132万9200人で、西独地域では前月比で12万6700人減少、前年同月比で23万6000人減少、東独地域では前月比で7万1300人減少、前年同月比で2万6200人増加だった。

6月と7月については、全ドイツの失業率はそれぞれ、9.1%、9.3%、失業者数はそれぞれ、372万4000人、380万3600人だった。これは失業者数については、前月比でそれぞれ、6万4000人減少、7万9000人増加、前年同月比でそれぞれ、21万3800人減少、22万3500人減少だった。6月と7月を地域別で見ると、失業率は、西独地域でそれぞれ、7.4%、7.5%、東独地域でそれぞれ、16.5%、17.0%、失業者数は、西独地域でそれぞれ、242万7000人、246万6200人、東独地域でそれぞれ、129万8000人、133万7400人だった。失業者数について6月と7月は、西独地域で、前月比でそれぞれ、3万2600人減少、3万9700人増加、前年同月比でそれぞれ、22万6800人減少、22万5700人減少、東独地域では、前月比でそれぞれ、3万1400人減少、3万9600人増加、前年同月比でそれぞれ、1万3100人増加、2200人増加だった。

5月の失業者数の減少は、5月としては1995年以来の低い水準だったが、ヤゴタ連邦雇用庁長官は、西独地域における第1四半期の経済成長が労働市場の改善に影響し、他方で、引退した高齢労働者数が労働市場に参入した若年労働者数を上回ったことも統計の改善に寄与したと述べた。ただ東独地域では、改善の兆しはあるが、依然として雇用状況は厳しいとしている。

6月は引き続き雇用統計の改善を見たが、ヤゴタ長官は、景気回復が労働市場の好転に寄与した度合は予想されたよりも低く、6月については、労働力の市場参入の減少その他、季節的要因によるところが大きかったと述べた。しかし同長官は、労働市場の改善傾向については肯定し、景気の回復が諸部門に拡大しており、好調な輸出に内需拡大が伴い、構造的な変革が経済成長に寄与し、これが雇用の改善につながっていくだろうとした。同長官は、構造的要因としては、特に製造に関する計画・技術の刷新と雇用を促進する賃金政策が、雇用の創出に寄与すると述べている。

7月は失業率、失業者数ともに若干の後退を見たが、ゼムラー連邦雇用庁副長官は、7月は若干の学卒者並びに訓練教育修了者が失業登録することで、季節的に失業者数が増加するのが通常で、また、失業者の雇用は夏期休暇終了の時期まで延ばされるので、これらの要因が統計上の数字に寄与したとしている。また、同副長官は、例年労働市場が秋季に改善することを考慮すると、連邦雇用庁は2000年度の失業者数が20万人減少するとの予測を変更する必要を認めないとしている。ちなみに連邦政府は、2000年度失業者数減少予測を20万人から25万人に修正している。

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