国家財政難により、失業保険制度開始遅れる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年11月

今後、国営企業失業者の増加が見込まれ、国家財政も赤字となっているため、失業保険基金の創設が遅れる見通しとなった。これまで基金計画者は、主にブルーカラー労働者を対象にした同基金を2001年前半に立ち上げることができるのではないかと期待していた。しかし、雇用政策局(EPD)上級職員のブイ・バン・ズ氏によると、国営企業改革が進行中で、多くのブルーカラー労働者が失業する見込みなので、向こう3年あるいは4年間、失業保険制度を開始することができず、また、社会保険、健康保険に加え、新たな保険料を支払おうとしない赤字企業があることも失業保険基金の立ち上げを妨げる要因であると述べている。失業保険制度が確立されるまでの当座の国営企業失業者への支援計画についてベトナム政府は、援助国とともに検討しているが、2002年までに国営企業失業者への補償として推定で7億4200万ドルが必要である。

同基金の草案を作成している MoLISAのEPDによれば、国営企業、民間企業、外国投資企業に1年以上勤続している労働者に失業保険の受給資格がある。その資金源は、労働者、使用者、国家予算であるが、国家財政赤字により国家予算からの拠出が期待できず、基金の収入が、労働者と使用者の保険料に限られることになる。保険料負担の比率は、労働者が約3分の2、使用者が約3分の1となる。

MoLISAの報告書によれば、国営企業部門のリストラにより、2000年初頭以来、4万1000人(国営企業雇用者の6.1%)が失業した。国営企業は、現在5280社あるが、2003年には3000社、2005年には2000社に削減されるため、国営企業からの失業者は今後も増加するものと見られている。

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