石炭採掘会社でストライキ、1カ月間操業停止に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

東カリマンタンのPTカルティム・プリマ・コール(KPC)の労働者約150人がストライキを起こし、同社は操業中止に追い込まれている。労働者は2000年6月14日からストライキを続けており、KPCでは1日につき20億ルピア(23万2558米ドル)~30億ルピア(約34万米ドル)の損失を受けた。

労働者は、15%の給与引き上げと、一時支給が中断されていた福祉手当の再開を求め、6月14日から、石炭加工場と燃料貯蔵庫への道路を封鎖し、企業の本部も占拠した。操業が中止されたことで、石炭供給に支障をきたすだけでなく、供給側への補償問題など新たな問題が出てきた。7月5日のKPCグラント社長の発表によれば、ストライキが行われている間、同社は貯蔵してあるものから製品を発送していたが、ストックが切れたため、製品の発送が遅れており、15万~17万トンの石炭量に対して1日2万ドルの費用がかかっていることを明らかにした。そして、台湾、マレーシア、日本、ドイツ、イタリア、アメリカ、フィリピン、インド、ポルトガル等の31の顧客(64%が電力会社、34%が鉄鋼業)が、KPCとの取引を中止し、新しい供給源にシフトしたことを伝えている。

政府も、鉱区使用料と税収で、合わせて30億ルピア(約34万米ドル)の損失を被っている。

長引く抗議活動に対して、労働力省労使紛争解決のための地方委員会(P4D)は、労使紛争終了に関する1957年法律第22号に定められている「ストライキの事前予告」がなされなかったとして、KPCのストライキを法律違反であると判定した。

その後、7月8日にバリケードの解放に関して労働者側との合意に達し、翌9日には海外への石炭発送が再開された。労使ともに、互いの要求に対応するつもりはないと述べており、労働者側は今後も要求をアピールしつづけるとしている。

本誌2000年7、8月号でもお伝えしたように、インドネシアでは近年ストライキが頻発し、現地の投資や経済にも悪影響を与えている。国家警察のサレ情報局長によると、1998年には496件だったストとデモは、99年には736件と約1.5倍に増加し、2000年は3月末の時点ですでに362件に達しているという。

KPCは、オーストラリアの石炭採掘会社Rio Tintoと、アメリカの石油・ガス会社BPAmocoの合弁会社で、1991年の操業以来、年間1500万トンの石炭を産出し、インドネシア最大の石炭採掘会社となっている。従業員は約3000人。

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