1999年には2万5000の週35時間制協約が締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

週35時間制が支配的な地位を占め、賃金は背後へ追いやられた。2000年6月26日の全国団体交渉委員会年次会議で、オブリ雇用相が労使代表へ提出した「1999年の団体交渉に関する総括報告書」は、きわめて明確な答を示した。大幅な経済成長という背景もあって、企業の中心的な関心は労働時間の短縮に集まり、交渉はそこから、柔軟化、管理職の労働、あるいは職業訓練など、さまざまなテーマへと向けられた。公営企業を除くと、報酬の問題は後回しにされている。

1999年総括報告書の主な内容

協約

1999年に企業協約および事業所協約の数は急増した。その合計数は、前年の1万3300から3万1000近くへと跳ね上がったが、そのうちの2万5000協約は週35時間制を扱っていた。しかし、MEDEFが提唱した「労使関係再構築」が進められていたこともあって、全国協約は1999年並みの733協約が締結されたにとどまった。協約の4分の3は、オブリ第2法が国会で成立した上半期に締結されている。

紛争

1999年の紛争件数1119件は5%の増加であるが、比較的低い水準にとどまった。紛争参加率では、やはりCGTがトップの座を占めており、62%の紛争で要求の一部もしくは全部が満たされている。

委任

外部の労働団体から「委任」を受けた従業員を介して組合のない企業に協約の締結を可能にするシステムが急増した。調印された協約の40%以上がこのシステムによる。労働時間短縮の場合では60%を占め、組合代表による協約を上回っている。

賃金

報酬に関する交渉は減少に転じた。前年の138部門に対して、1999年は64部門だけがこの問題を扱った。また、最低賃金の改定を目指した全国規模の賃金協約数も前年の358から258へ減少した。1995年と比較すると51%、1998年と比較すると28%の減少となる。賃上げの対象者は、1年前の650万人から350万人へとほぼ半減した。報告書は、「各部門において、階層別賃上げの加重平均(1.6%)や中央値(1.3%)も大幅に下落している」と指摘している。56%の部門--1990年代初頭に近い水準--がその賃金表の中にSMICを下回る賃金計数を有していた。企業レベルで見ても、数は2倍になるが、賃金を扱っている協約は3分の1程度にすぎない。ほとんどの場合、賃金は現状維持である。しかし多くの場合、この規定には2年から2年半の間賃金の「凍結」もしくは抑制を定める条項が付加されている。ただ、一般賃上げはほとんど増えていないが、個別賃上げだけは増加している(1998年の協約の9%に対して、12%)。平均すると、協約では2%の賃上げが定められている。1998年のインフレ率を考慮すると、1.6%の購買力の上昇となる。賃金のテーマが依然交渉で大きな比重を占めるのは公営企業だけである(68協約)。ここでも賃金協約は減少しているが、なお時短協約(1999年に65協約)を上回っている。

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