労働力人口のうち210万人が移民

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

INSEE(国立統計経済研究所)の調査によると、1999年の移民労働力人口は210万人を数え、男性の労働力人口全体の9%、女性の7%を占めているという。移民労働者は、非熟練職に就いている者が多く、他の労働者よりも賃金が低いばかりか、失業のリスクもかなり高い。

欧州連合内の自由な移動を保証されている欧州出身の移民は別に検討する必要があるが、移民は依然として低熟練職に就いている者が多い。すなわち、移民の44.1%はブルーカラー(労働力人口全体では26.1%)であり、19.1%は非熟練職にある(同9.2%)。また、移民は公務員に占める割合がきわめて低く、常勤職を持つ移民の78%は民間部門で働いている(同63%)。

産業部門別に見ても、移民労働者には顕著な特徴が窺える。建設業(移民男性の17.4%)や自動車製造業(同12.8%)など一部の部門に移民は過度に集中している。一方、女性の場合、最も多く働いているのは不動産業で(主として清掃)、この部門は平均よりも13ポイントも高い19.2%の移民女性を雇用している。

ところで、移民人口は、他の労働力人口よりも臨時的な身分で働いていることが多く、男性は13%が期間の定めのある契約で、11%は派遣労働者であった(男性全体に占める割合は8%)。同様に、移民女性の42.3%はパートタイマーであった(女性労働力人口全体では31.7%)。

報酬に関して見ると、移民は男性全体の賃金の89.9%に相当する平均賃金を受け取っている(女性の場合、この割合は87.3%に低下する)。しかし、同一の雇用で比較した場合、移民であるという事実が月額賃金に関してマイナスに作用しているわけではなく、従事している雇用の構造がこの低い賃金水準の理由となっている。

また、移民人口も雇用状況の改善から恩恵を受けているとは言え、まだ相対的に大きな失業の危険にさらされている。1999年1月時点で見ると、失業者の14.4%が移民であった。移民男性の失業率は、男性全体のそれを9.5ポイント上回る19.7%、移民女性の場合23.1%に達している。この失業率は、1996年以降最悪の水準にあり、1998年と比較しても悪下している。失業期間は、1998年3月から99年1月にかけて、1.5カ月短縮された。とは言え、この調査によると、等しい年齢、性、学歴で比較した場合、移民はそれ以外の人口よりもはるかに大きな失業のリスクを抱えているという。

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