政府、連邦雇用庁長官の再任を固める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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連邦政府は2000年6月中旬、連邦雇用庁長官にヤゴタ現長官を再任することを固めた。ヤゴタ長官の現在の任期は2001年1月31日までだが、これにより、同長官は前キリスト教民主同盟(CDU)政権下で長官に就任して以来、3期目(1期4年)を務めることになる。

連邦雇用庁は、雇用統計の分析、補助金支給、外国人労働者資格審査等、労働関係の中心的役割を担い、労働省とも密接な関係があり、長官は通常政権党から選ばれる。ヤゴタ長官もCDUの前連邦議会議員で、ブリューム前労相(CDU)の信任を得て長官ポストに就任した。したがって現社会民主党(SPD)政権下では、2期目の任期満了とともに退任するはずだったが、再任が固まったのは、SPDの候補者がイスラエル大使に赴任したこともあるが、ヤゴタ氏の評価が現政権、連邦雇用庁内部、労働側のいずれからも高いことが背景にある。

1998年秋の政権交替後まもなく、ヤゴタ長官は、政府の若年労働者緊急雇用計画に対して迅速に対応するなど、政府の労働市場政策に積極的に対応したが、労働市場の評価については慎重な姿勢を崩さなかった。だが最近になって、市場の好転を肯定するに至り、シュレーダー首相の2002年末までに失業者数を350万人にまで減らすとの発言に対しても、現実的だと支持し、また外国人IT技術者導入についても、野党CDUが立法的措置の整備を主張したのに対して、政府の提言を逸速く実施している。同長官のこのような対応に対しては、出身母体のCDUから政府よりだとの批判が出ているが、同長官は、民主主義の下で官職に就く者は、有権者の選んだ政府に忠実であるべきだとの信条を貫いている。

また、ヤゴタ長官はじっくりと合意を形成し、あからさまな対立を避ける手法でも知られるが、このような同長官の職務遂行に対して、連邦雇用庁内部から、職務にこれほど忠実で部下に対する対応にも優れた人は珍しいとの評価がなされており、労働総同盟(DGB)からは、労働側としては SPD党員を長官職に就任させたいが、だからと言ってヤゴタ長官の交替を望む者はいないとの声が聞かれる。

このように、政府、連邦雇用庁、労働側からの高い評価の下で、現在59歳のヤゴタ長官は、今回の再任により、2005年1月末まで労働行政の中枢ポストである連邦雇用庁長官として職務を遂行することになる。

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