失業者数再び400万人割る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

6大経済研究所の春季労働市場予測は、2000年度の雇用状況の好転を予測したが、連邦雇用庁が2000年5月10日に明らかにした4月の雇用統計によると、4月の失業者数は再び400万人の大台を割り、失業率も10%を割った。全ドイツの失業者数は398万6400人で、前年同期比で15万9000人減少、前月比でも15万4600人減少であり、失業率は1999年4月の10.7%、2000年3月の10.6%に対して、9.8%に減少した。

地域別では、西独地域で、失業者数258万5800人、前年同月比で21万3700人減少、前月比で10万4900人減少で、失業率は7.9%だった。東独地域では、失業者数140万5000人、前年同月比で5万4700人増加、前月比で4万9800人減少、失業率は17.8%だった。

このように統計上は大幅な雇用状況の改善に見えるが、連邦雇用庁によると統計の算定に変更があったので、実際の雇用状況は、統計の数値の比較どおりには評価しえないとされる。特に、昨年の僅少就業者に関する規定の変更後、僅少就業者の登録義務が強化され、その結果、僅少就業者が187万9000人から365万人にほとんど倍加したため、これを考慮すると実質的な失業率は統計上の数値とは異なり、全ドイツと西独地域では0.4ポイント、東独地域では0.5ポイント程度の差があると見られる。

このような差を考慮に入れても、ヤゴタ連邦雇用庁長官は、ドイツでは雇用状況の改善が進んでいるとしている。同長官は、背景として景気の回復が着実に進んでいること、特に製造業における輸出ブームに続いて内需が拡大していることを挙げているが、高齢労働者の職業生活からの引退が若年労働者の雇用市場への参入を上回ったことも影響しているとしている。ただ、全体的な好転にもかかわらず、着実に雇用状況が好転しているのは西独地域で、東独地域では産業部門によって格差があり、特に製造業における好転によって建設業の構造調整が補填されるに至っていないとしている。

今後の見通しについては、ヤゴタ長官は先の6大研究所の予測同様、楽観的な見通しを示している。同長官は5月の失業者数につき、14万7000人程度の減少を見越しており、2000年度の平均失業者数についても、20万人減少の予測を維持しうるとしている。

野党キリスト教民主同盟(CDU)は、4月の失業者数の減少につき、雇用市場での高齢者と若年者の交替の要因に負う部分が大きいとするだけで、肯定的な評価を控えているが、リースター労相は、雇用市場の好転は歴然としており、連邦政府は失業者数を減少させる公約を着実に果たしていると述べている。また労働総同盟(DGB)は、引き続き雇用創出措置(ABM)を実施することを要望するとともに、これからは、失業者数300万人の大台を下回ることが目標にされねばならないとしている。

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