国連開発計画、ベトナム人女性・児童の海外への人身売買増加を警告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

国連開発計画の最近の報告書によれば、貧しいベトナム人女性や未成年者が、世界中に売春婦、奴隷、妻として売られている。1990年代初め以来、少なくとも1万人の女性、そして1万4000人以上の子供が売られ、その人数も増加傾向にある。しかし、ベトナム女性同盟は、これほど多くの人数ではないと異論を唱えている。

女性の大部分は、中国、カンボジア、台湾、香港、マカオ、オーストラリア、アメリカ合衆国、シンガポールへ送られ、花嫁、家政婦、売春婦、奴隷になっている。子供たちの中で特に被害にあっているのは、長女あるいは次女で、容姿がよい少女たちである。大部分の女性の年齢は、18歳から40歳で、未成年者の年齢は幼児から17歳までである。

性風俗労働者に占める少女の比率は増加しつつあると信じられている(1989年には2.5%、94年には11.0%、95年には11.4%)。MoLISAとユニセフ(UNICEF)の推計によると近年、性風俗労働者の数は20万人に達しており、その7%から10.5%が10代の少女である。またホーチミン市の女性同盟の報告によると、カンボジアの3万人の性風俗労働者の40%がベトナム人女性である。ただし、カンボジアで人権委員会が22省、64地区を対象に行った調査では1万4725人の売春婦が確認され、2291人の少女売春婦の実に78%がベトナム人であった。プノンペン郊外のある地区には、50の売春宿があるが、ここではほぼすべてがベトナム人女性であった。中国への婦女子売買は、主にベトナム北部から行われ、カンボジアへはベトナム南部から行われていることが多い。

中国国内では、嫁や家事手伝いへの需要が拡大しており、今ではベトナム人女性を斡旋したり、メールオーダーの花嫁紹介業者を通した不正取引が行われている。中国国境にあるランソン省の女性同盟によると1993年以来、3000人以上の女性が、自分の陥った境遇がいかなるものか気づいたあとで中国から戻ってきた。台湾・香港・マカオにも、中国人男性とベトナム人女性との結婚を斡旋する花嫁紹介業者がいる。

婦女子が売買される場合に、彼女らや両親を説得する役割を果たす仲介役になっているのは通常、親類、友人、同郷の人々だが、時には見知らぬ人が女性や少女に、高い所得を得ることができる仕事があり、気楽な生活があなたを待っていると言ってみたり、男性が女性に対し恋愛感情を示し、母国で結婚すると口説いたりする。仲介役の大部分は女性で、その多くが自身、婦女子売買の被害者である。

勧誘された女性は、しばしば両親や家族に前もって支払われた金のために借金を背負う。そして、海外への旅行費用が自分の借金の一部になることを知らないまま目的地に着き、多くが売春宿へ売られていく。

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